情報を分割し、全国のデータセンタへ拡散
NRIセキュア、秘密分散技術の実証実験を開始
2010/03/01
NRIセキュア・テクノロジーズは3月1日、「秘密分散技術を用いて重要情報を保護するデータ管理サービス」実証実験の概要を発表した。3月より実証実験を開始し、2010年10月の商用サービス開始を目指す。
このサービスは重要情報を含むファイルを、ランダムなビット列を基に独自の符号化を施した上で複数のファイルに分割し、それを全国のデータセンタで分散して保管する。これにより、個人情報などが含まれる重要情報を「非重要情報」とするもの。断片ファイルにはパリティデータが含まれており、データセンタのダウンなどで1つの断片ファイルが取り出せない状況になったとしても復元が可能。
実証実験では、特定のフォルダにファイルを入れることで自動的に分割・分散を行う。また、NRIセキュアが提供するラベル付けツール「SecureCube/Labeling」を併用した環境では、特定のラベルを付与すると同時に分割・分散を行える。
NRIセキュアが調査した結果によると、企業が情報を外部保管しない理由として「機密情報・重要情報を外部に保管したくない(62.8%)」「外部に保管するとコストがかかる(46.2%)」「業務の性質上、内部保管の方がメリットが大きい(41.1%)」などが挙げられた。これに対しNRIセキュア・テクノロジーズ ソリューション事業本部長の佐藤敦氏は「望まれているのは『非重要情報化してあれば安心して預けられ』『低コストなクラウドを利用し』『業務アプリからシームレスに使える』サービスが望まれている」と述べた。
今回のサービスについても法律に詳しい専門家から「個別の断片ファイルが漏えいしても実被害がないため、訴訟リスクを回避できる」というコメントを得ているという。現時点ではデータセンタ事業者11社を含む20社が実証実験に参加し、2010年4月には成果レポートを報告する予定だ。
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