マルウェアめぐるサプライチェーンを解説

「アンチ・アンチウイルス」がサービス化、RSAセキュリティが指摘

2010/03/24

 RSAセキュリティは3月24日、オンライン犯罪の動向に関する月例の説明会を開催した。同社マーケティング統括本部 プロダクトマーケティングマネジャーの水村明博氏は、マルウェアがウイルス対策ソフトウェアによって検出されるかどうかを有償で検査できる、犯罪者向けのサイトが確認されたことを踏まえ、「FaaS(Fraud as a Service)を利用して、より高度なマルウェアが簡単に開発できるようになっている」と警告した。

 個人情報や金銭の詐取を目的にした近年のマルウェアは、ユーザーになるべく気付かれないように、セキュリティ対策から逃れようと試みる。「いまに始まった話ではないが、ウイルス対策企業とハッカー(オンライン犯罪者)は戦ってきた」(水村氏)。

 例えば犯罪者は、マルウェアを作成すると、手元のウイルス対策ソフトウェアや有志が無償で運営しているウイルススキャンポータルサイトを用いてテストを行い、検出されないことを確かめてからばらまくことが多かった。しかし、こうしたポータルサイトがウイルス対策ベンダと連携して検体の提供に応じるようになった結果、検出率は向上してきた。これは犯罪者にとっては、商売あがったりの状況だ。そこで、専用のマルウェアテストサイトが登場してきたという。

rsasecurity01.jpg RSAセキュリティが確認したマルウェアテストサイトの1つ

 この手のマルウェアテストサイトは、「アンチ・アンチウイルス」テストに特化している。RSAセキュリティが発見したサイトの1つでは、主要なウイルス対策ソフト、20種類以上の検出エンジンが用意され、シグネチャも最短で1時間間隔で更新されるようになっていた。

 さらに、シグネチャのアップデートによって登録したマルウェアが検出されるようになると、メールやIMなどでアラートを自動的に配信したり、マルウェアの登録/テスト作業を自動化するためのAPIを用意するなど、手厚いサービスも用意していた。利用料金は、1ファイル1スキャン当たり15セントから、高くても1ドル程度という。

 オンライン犯罪をめぐる「エコシステム」の存在が指摘されて久しい。すでに、マルウェア開発ツールの販売やボットネットのレンタル、不正に入手したデータの換金などがサービスとして提供される状態だったが、「マルウェアテストサイトも加わった」(水村氏)。これを踏まえて同氏は、「アンチウイルスだけでなく、多層的なセキュリティ対策を取ることがいっそう必要になっている」と述べている。

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(@IT 高橋睦美)

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