コンタクトセンターにおける顧客との“対話”不足を解消せよG-Force Chicago 2010 Report:

» 2010年04月17日 00時00分 公開
[伏見学,@IT]

 米国時間の4月15日、米Genesysの年次カンファレンス「G-Force Chicago 2010」は2日目を迎えた。午前中の基調講演では、同社が提供するコンタクトセンター向けミドルウェア「Genesys8(G8)」の特徴が説明された。

 G8は複数のモジュールから構成された製品で、2年前から段階的なバージョンアップおよび新機能の追加が行われてきた。今夏にすべてのコンポーネントが出そろうわけだが、同社バイスプレジデントで製品マーケティング担当のエリック・タンブリン氏は「昨年はG8の技術的な部分をリリースしたので、今年はビジネス的な機能に注力していく」と説明する。

「Genesys8」の概要を説明するエリック・タンブリン氏 「Genesys8」の概要を説明するエリック・タンブリン氏

 G8は主に「Contact Center Infrastructure(コンタクトセンター基盤)」「eServices & Internet Integration(eサービス)」「Workforce Optimization & Analytics(WFO分析)」「iWD(インタラクション中心のBPM)」という4つのビジネスセグメントを中核としている。実際に、コンタクトセンター基盤では、音声認識やビジネスプロセスなどの技術を統合したソリューション「intelligent Customer Front Door(iCFD)」やIPソリューションなどを持つ。eサービスは、電子メールやチャット、ソーシャルメディア連携などが含まれる。WFO分析ではエージェント(オペレーター)の業務管理やレポーティングなどを行う。iWDはコンタクトセンターのフロント部分の業務をバックオフィスのさまざまな情報システムに連携する役割を担う。

 G8へのアップグレードにあたり、製品全体のコアとなるのが「Conversation Manager」と呼ばれるモジュールだ。これはコンタクトセンターにアクセスするあらゆる顧客との“対話”を目的にしている。通常、顧客は電話や電子メール、Webチャットなどさまざまなチャネルからコンタクトセンターへ問い合わせするのに対し、多くのコンタクトセンターではチャネルごとに業務プロセスやエージェント、組織が分かれて孤立する、いわゆる「サイロ化状態」に陥っているため、顧客が同じ問い合わせを何度もしなければならなかったり、問い合わせデータが重複したりするという問題が起きていた。Conversation Managerによって各チャネルからのデータを統合し、顧客に一貫性を持った対応が可能になる。

 「Conversation Managerを活用すれば、チャネルをまたいで顧客をサポートでき、業務の効率化および顧客満足度の向上が同時に実現できるのだ」(タンブリン氏)

 具体的には、音声通話やWebチャットといったチャネルごとのやり取りをメタデータとして顧客データベースに一元的に取り込むコンポーネント「Context Services」、顧客の履歴や特性に応じてリアルタイムに業務をエージェントに振り分ける「Customer Rules」、顧客が問い合わせの際にIVR(音声自動応答装置)やID入力などの設定を変更できるWebサービス「Business User Interface」を実装する。一般的に、コンタクトセンターではあらかじめ決められたルールに基づき、顧客からの問い合わせ内容などに応じてコールや電子メールがエージェントに振り分け(ルーティング)されるため、多少の時間が掛かってしまうが、Conversation Managerは、あらゆるチャネルからの問い合わせを瞬時にエージェントに割り当てられるという。

G8のアーキテクチャ G8のアーキテクチャ

 そのほか、G8ではユーザーインターフェイスの改善がなされた。従来はいくつかのインターフェイスを使ってエージェントが管理する必要があったが、それを統合してWebベースでの容易な管理が可能となった。

 「これからのコンタクトセンターは、いかに人員を増やさずに業務を効率化し、その先のコスト削減を図ることが不可欠である。これらを実現するために顧客との対話はますます重要になるのだ」(タンブリン氏)

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