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企業会計審議会で議論へ

会計コンバージェンスを連結先行に、単体は判断を一時留保

2010/06/10

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 企業会計基準委員会(ASBJ)は6月8日、会計コンバージェンスに基づく会計基準の策定について連結財務諸表だけを対象にし、単体の財務諸表については判断を一時的に留保する考えを示した。ASBJはこれまで基本的に連結と単体の両方を対象に会計基準の策定を行ってきたが、単体基準のコンバージェンスについて疑問の声があり、金融庁の企業会計審議会での結論が出るまで連結基準のみを議論することにした。

 ASBJの委員長 西川郁生氏が同日に開催された企業会計審議会総会で「上場会社の個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)に関する検討会」の報告書を公表した。

 連結と単体の会計基準については2009年6月に公表された「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」で、連結財務諸表に先行してIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)を適用する「連結先行」の考えが打ち出されていた。単体の財務諸表については「強制適用の是非を判断する際に、幅広い見地から検討を行う必要がある」として明確な姿勢を示していなかった。

 一方、会計コンバージェンスを巡っては、包括利益表示の基準化を巡って2010年3月に議論となった。包括利益表示は当初、連結・単体の両方の財務諸表を対象とする予定だったが、連結先行との矛盾や、単体に包括利益表示を適用することを疑問視する声があり、基準化が延期された。また、経済産業省の企業財務委員会 企業会計検討ワーキンググループは4月19日、IFRS適用や今後の会計コンバージェンスの「連単分離」を訴える報告書を公表した。関西経済連合会も6月8日、単体財務諸表に適用する会計基準について意見調整する場が必要とする意見書を公表した。

 「上場会社の個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)に関する検討会」はこれら連単分離や連結先行の意味を明確化することを求める声を受けて、ASBJの委員と証券アナリスト、一般企業の経理・財務部門担当者らによって組織された。金融庁や法務省、経済産業省がオブザーバーとして参加している。報告書では以下のように記述している。

 「今後、ASBJにおける個々の会計基準開発の審議は、本検討会の審議の内容及び企業会計審議会での審議も踏まえ行う予定である。なお、企業会計審議会での審議中に、ASBJにおいて個々のテーマについて議決を行う場合、個別財務諸表の取扱いについては、判断を留保する方向で委員会で議論することとする」

 単体基準についての議論を留保することで、2011年3月期に適用される予定の包括利益表示については連結財務諸表のみを先行して対象とするもようだ。包括利益表示の基準化は6月末までに行われる見通しだ。

 企業会計審議会の会長 安藤英義氏は総会で、「個々の会計基準の開発はASBJが行っていることを前提として、ASBJの議論を前向きにするために総会で論点を明確にする」と話した。

(IFRSフォーラム 垣内郁栄)

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