コンタクトセンターにもクラウドの波オフィスに行かずにビーチで顧客応対も

» 2010年07月05日 00時00分 公開
[伏見学,@IT]

 コンタクトセンターといえば、オフィスビルの1フロアに電話機とPCが所狭しと並んでいて、多くのオペレーター(エージェント)がひっきりなしに電話応答しているイメージを持つ読者も多いのではないか。そうした既存のコンタクトセンターがクラウドコンピューティングによって大きく様変わりするかもしれない。

 「情報システムの発達によって、既にリモートオフィス環境で働くエージェントが増えている」――そう話すのは、コンタクトセンターベンダの米インタラクティブ・インテリジェンスでプロダクトマネジメント担当ディレクターを務めるレイチェル・ウェンティンク氏だ。従来のように、エージェント同士が座席スペースのほとんどない場所にひしめき合うスタイルから、自宅から作業したり、小規模なオフィスで少人数で業務に当たるというスタイルに移行しているという。

引き合いが強まるクラウド

 この流れはシステムのクラウド化によってさらに加速する。米国ではクラウド対応のコンタクトセンター製品を活用する企業が増えており、同社でも新規案件のうち4分の1以上がクラウドに関するものである。

 同社が提供するCaaS(Communication as a Service)型のクラウド製品は、音声通話、Eメール、チャット、スケジュール調整などエージェントの標準業務を網羅するほか、顧客満足度の調査やレポーティング、リアルタイムモニタリングなどスーパーバイザーが必要な機能を実装する。

 「システムのクラウド化によって、あらゆる場所でのコンタクトセンター業務が可能になる。例えば、Eメールやチャットのチャネルを担当するエージェントであれば、オフィスに出社せずにビーチでも作業できるだろう」と日本支社長のキース・マーティン氏は、クラウドサービスによる働き方の変化を強調する。

グローバル展開を支援

 システム運用の利点もある。例えば、短期間の利用であればオンプレミスの製品と比べて運用コストを抑えることが可能になるほか、あるキャンペーンを実施するためにコンタクトセンターを早く立ち上げたい、サービスの仕様を速やかに変更したいといった要求にも柔軟に対応する。

 当初、同社のクラウドサービスに関心を持つのは、コスト削減意識の高い、あるいはフットワークの軽い中小規模の企業だと想定していたが、引き合いがあったのはコンタクトセンターの座席数が1000を超える大企業やグローバル展開する企業で、案件全体の8割以上を占める。あるグローバル企業は、米国と英国のコンタクトセンターシステムを既にクラウド化しており、近い将来、日本でもクラウド型を導入する予定だという。

 拠点ごとに別々のシステムを構築するのではなく、グローバルでシステムを統一し、コンタクトセンター業務を標準化する動きが活発化しており、それを迅速に実現するにはクラウドの活用が欠かせないようだ。

キース・マーティン日本支社長(左)と、プロダクトマネジメント担当ディレクターのレイチェル・ウェンティンク氏 キース・マーティン日本支社長(左)と、プロダクトマネジメント担当ディレクターのレイチェル・ウェンティンク氏

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ