データセンターでのクラウド構築をにらむ

異なる媒体をまたいでデータ配置を最適化、日立の新ディスクアレイ

2010/09/28

 日立製作所は9月28日、企業の基幹システムやデータセンター、クラウド環境向けのハイエンドディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform」(VSP)と、ストレージ管理ソフトウェア「Hitachi Command Suite 7」を発表した。

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 VSPは、SSDやSAS、SATAといった異なる種類のドライブにまたがってストレージを仮想化し、データのアクセス頻度に応じて最適な記憶媒体に配置する「Hicathi Dynamic Tiering」という新機能を備えている。アクセス頻度の高いデータは高価だが高速なSSDに、それほどでもないデータはコストパフォーマンスに優れたSAS、SATAのディスクにといった具合に配置を最適化することで、ストレージ全体のコストを削減する。アレイコントローラ自体が、アクセス頻度を見て、データを適切な階層に自動的に移動する仕組みを備えている。

 「日常業務におけるアクセス分布を見ると、データアクセスの50%が5%のストレージ領域に集中している。この偏りをうまく利用して、顧客のストレージシステムを効率化する」(日立製作所 情報・通信システム社 RAIDシステム事業部長の岩崎秀彦氏)。

 アクセス頻度に応じてデータの保存先を最適化するというアプローチは、古くから、情報ライフサイクル管理という考え方で提供されてきた。Hicathi Dynamic Tieringはこの考えを、異なる種類の媒体にまたがって、人手を介さず自動的に実現するものだ。ほかにもストレージ階層化の機能を提供するベンダはあるが、42MBという細かい単位で制御を行うのは同社が初という。

 VSPはまた、HDDやプロセッサ、ポートの追加による「スケールアップ」、ディスクアレイコントローラ同士を接続して1台のシステムとして利用できる「スケールアウト」の両方向で拡張性を高めることができる。加えて、他社製品も含め、既存のストレージ装置を接続し、仮想的に統合することで、最大255ペタバイトまで管理可能という。

 さらにI/Oなどの処理をディスクアレイ内で平準化し、アクセスが集中しても常に安定した性能を出せる機能も搭載した。その意味でも「データセンターにおけるクラウド環境構築に適した製品だ」(岩崎氏)という。

 日立製作所ではVSPを、ストレージおよび仮想化の導入を支援するサービス群とともに提供。事前に仮想化機能の導入効果を可視化し、導入の意思決定を支援する「Storage Economics Service」や、仮想化技術を活用するために最適な構成を提案する「Virtual Storage Assessment Serivce」などと組み合わせ、システムライフサイクル全体を支援するとした。

 VSPの価格は、ファイバチャネル8ポート、容量718GBの構成で7715万2950円から。Dynamic Tieringのソフトウェアは220万5000円からで、10月4日に出荷を開始する。Command Suite 7の価格は、ストレージ階層間でのデータ再配置を行う「Hitachi Tiered Storage Manager」が55万650円からなどとなっており、10月29日に出荷する。

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(@IT 高橋睦美)

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