Chromiumベースにソーシャル連携を標準搭載

元Netscape創業者ら、新ブラウザ「RockMelt」発表

2010/11/08

 インターネット黎明期の1994年に初の商用Webブラウザとして登場し、Internet Explorer登場以前には圧倒的なシェアと人気を誇った「Netscape」。その創業者であるマーク・アンドリーセン氏を含むNetscape Communicationsの卒業組が、密かに過去2年に渡って新ブラウザ「RockMelt」(ロックメルト)を開発していたことを明らかにした。

rock01.png 公開された新ブラウザ「RockMelt」。右側にソーシャルサービス、左側にユーザーのアイコン、上部に「share」ボタンがある
rock02.png お気に入りのユーザーはアイコンで常に表示されていて、クリックすると相手のオンライン状態が分かったり、メッセージを送ったりできるようだ




(追記:試用動画を追加しました)

 2010年11月8日に公開されたWebページと紹介ビデオによれば、RockMeltは、Facebook、Twitter、YouTubeなどを通じて、メッセージやコンテンツ、URLリンクを知人・友人らと「共有」するWeb上のソーシャルな活動を支援することを最初から考えて設計された“ソーシャルな”Webブラウザだ。一見すると、素のChromium(Google Chromeのオープンソース版)との違いはささいだが、左側に友人らのユーザーのアイコンと、そのオンライン状態の表示、右側にSNSサービスの一覧と、各SNSの“未消化フィード数”が表示されているのが分かる。また、URL入力欄のすぐ隣には、共有ボタンがあり、開いているページのURLや動画コンテンツを誰かと共有する操作(URLのコピーや投稿)が容易にできる、としている。

 このほか、検索窓の挙動が従来のブラウザと異なり、検索結果のリストを1つずつクリックするだけで、パラパラと検索にヒットしたページを見られる、という機能もあるようだ。

Flockは失敗したのに、なぜ今さら?

 ソーシャル関連機能を前面に打ち出したブラウザといえば、2005年に最初のバージョンをリリースした「Flock」がある。当初、Mozilla FirefoxベースだったFlockは、各種機能をXULで実装していたが、次期バージョンはChromiumベースとなる予定だ。

 Flockはメインストリームでの普及には失敗し、今後も急速な普及が見込めるとは考えづらいが、同様のコンセプトのRockMeltは注目を集めている。

 FlockとRockMeltの最大の違いは登場のタイミングだ。ソーシャル機能を中心に据えたブラウザというコンセプトは、Flock登場の時点では早すぎた可能性がある。FacebookやTwitterのように基本的にログインした状態で、そのソーシャルグラフを活用して、コンテンツやメッセージを送り合うという行動が活発化してきたのは、ここ2、3年だろう。現段階でまだRockMeltをダウンロードして試用できていないので確認はできないが、RockMeltはクラウドサービスだとも言っている。つまり、まずRockMeltにログインすればFacebookやTwitterを始めとする各種SNSがすぐに使える状態になる、ということだろう。

 今のところ、こうしたSNS連携はウィジェットやブックマークレット、ブラウザ拡張機能で各ユーザーがやっていることだろう。しかし、拡張機能やアカウントの管理がバラバラになりがちなことや、インストール・管理の煩雑さを考えると、RockMeltのようにクラウド上に1つ、アカウントの集中管理場所があるというのは説得力があるように思える。多様なサービスに対してアカウントが増えて面倒だというユーザーのニーズに対して、OpenIDやOAuthなどが登場しているが、シングル・サイン・オンのような利便性は実現していない。クラウド+ブラウザで一気に解決というのは合理的だ。まもなく登場が噂されているChrome OSにも同様の機能が搭載される見込みで、1つのトレンドになっていくのかもしれない。スマートフォンも、いまやFacebookやTwitter、Gmailなどが統合されることが増えた。

 ハッキリしたことは現時点では分からないが、RockMeltの説明によれば、ブラウザの利用者がどのページを見たか、どれを見ていないかはRockMeltが把握していて、1日に10度訪問するようなサイトについては、新規コンテンツが追加されたときに知らせてくれるのだという。この記述からすれば、RSSという言葉を知らない一般ユーザー層に対して、RSSサービス的なものを提供する、というふうにも読み取れる。

知名度抜群のスターで注目を集めるか

 ニューヨーク・タイムズのインタビューに対して、アンドリーセン氏は、1992、3年にFacebook、Twitter、Googleの存在を知っていれば、WebブラウザをRockMeltのように設計したことだろうと答えていて、現在のWebブラウザが、Web上の人々の活動をサポートするよう十分に進化していないとしている。確かにウィジェットやエクステンションが激しく進化している一方で、一般ユーザーは完全に置いてけぼりという印象もある。

 ちなみにマーク・アンドリーセン氏といえば、2007年11月、まだクラウドやPaaSという言葉が一般的になっていなかった時代に、PaaSのポテンシャルを見抜いた文章を書いている(参考記事:Web上に登場した3種類の“プラットフォーム”)。その後、SNSのホスティングサービス「Ning」では成功したとは言えないが、今でも投資家、ビジョナリーとしてシリコンバレーでは注目の人。RockMeltにはさらに、元Netscape経営陣でLDAPの共同開発者としても知られるティム・ホウズ氏など、“Netscape卒業組”が多く名を連ねている。

 シリコンバレーのスター的存在が、オレなら今だったらブラウザをこう作るぜと立ち上げた“ソーシャルブラウザ”のベンチャー。バズる条件は十分だが、果たして一般のライトなネットユーザー層にまで広がるだろうか?

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(@IT 西村賢)

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