BIG-IP LTM VEを採用したNTTPCに聞く

仮想アプライアンス型負荷分散はどう使われているか

2011/03/14

 2010年にはファイアウォール、負荷分散/キャッシュなどの商用製品ベンダの間で、仮想アプライアンス(仮想マシン)形式の製品発表が相次いだ。こうした製品はどのように使われ始めているのか。F5ネットワークスの「BIG-IP LTM Virtual Edition」(LTM VE)をクラウドサービスで採用した、NTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)の技術担当者に聞いた。

 LTM VEは負荷分散を行える仮想アプライアンス形式の製品。機能を負荷分散に限っているが、機能や使い勝手はハードウェア版のBIG-IPに似ているという。NTTPCでは、物理サーバ/仮想サーバホスティングの「WebARENA Symphony」のエンタープライズ向けサービスで、LTM VEを採用したという。

 サーバ仮想化環境をベースとしたクラウドサービスでは、オープンソースなど、無償のファイアウォールや負荷分散ソフトウェアを使うケースが多い。NTT PCコミュニケーションズ データセンタ事業部 技術開発部 システムエンジニアリング担当 担当課長の岡本洋一氏は、実際、ファイアウォールについては、オープンソース・ソフトウェアを積極的に利用しようとしていると話す。

 負荷分散についても、コンシューマ向けサービスでは、フリーソフトウェアをできるだけ活用しているという。「しかし、エンタープライズ向けサービスでは、安定して動くこと、そしてログが確実にとれ、障害が発生したときに、なぜこうなったのかを説明できることが求められる。ベンダが質問に答えてくれるなど、24時間体制のサポートが受けられるかどうかも大きく違ってくる」。

 岡本氏のいうWebARENA Symphonyのエンタープライズ向けサービスでは、企業の社内向けITサービスと、重要な外部向けサービスを対象とし、物理サーバ環境と仮想サーバ環境のいずれを選んだ場合にも、必要なシステム構成をNTTPCがアドバイスして構成し、運用を代行している。以前は完全カスタマイズのシステム・インテグレーションとして提供していたが、最近では目的に応じた標準構成をメニュー化し、より安価に利用できるようにしている。「さらにクラウド的に使えるように、ネットワーク関連は顧客ごとに機器を導入するのでなく、必要な場合に、迅速でよりリーズナブルに機能として提供できるようにしていく」という。

 2月には、UTMソフトウェアのAstaroを仮想マシンとして動かす形で、オプションとして顧客に提供するサービスを始めた。次は負荷分散を、BIG-IPの仮想アプライアンスで同様に提供するという。

 「イニシャルコストだけ見れば、BIG-IPより安い選択肢はある。しかしトラブルが発生した際の対応などを考えると、無償のソフトも高くつく。BIG-IPはHA機能が備わっているので、運用に余裕が持てる。機能と使い勝手は同社が従来から使ってきたハードウェア型のBIG-IPとほとんど変わらないため、当社による運用もしやすい」。

 顧客にとっても、例えばまず仮想アプライアンスで使い、ニーズが高まった場合には同じ設定でハードウェアに移行するなどが可能になるという。

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