文部科学省や東北電力も利用

「中の人たち」が大同団結、公的機関Webサーバの負荷分散進む

2011/03/16

 東北関東大震災の避難生活や復興作業に当たって、「情報」の重要性が見直されている。しかし、自治体や医療機関が独自に用意していたWebサーバではアクセス集中に耐えきれず、せっかくの情報が伝わらない事態が生じていた。

 この問題に対し、国内の通信事業者やデータセンター、クラウドの「中の人たち」が自発的に解決に取り組んでいる。負荷が高いサーバの情報をTwitterなどを通じて交換し、クラウド基盤や仮想サーバを活用してミラーサーバやキャッシュサーバを構築(http://hope.viops.jp/など)。IIJも公共自治体サイトの情報ミラーサイトを構築(http://cache.iijgio.com/)し、多数の人がアクセスできる環境作りを進めている。

 当初は自発的に始まった取り組みだが、政府機関もその有用性に着目した。例えば文部科学省の「都道府県別環境放射能水準調査結果」や東北電力の計画停電に関する告知はYahooやさくらインターネット、WIDEプロジェクトが用意した「http://eq.yahoo.co.jp/」「http://eq.sakura.ne.jp/」「http://eq.wide.ad.jp/」のミラーサーバでも閲覧可能だ。

(3月18日追加)

  • MSN Japanがポータルサイト「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)情報サイト」を通じて、震災関連情報/ニュースを提供するとともに、東京電力、東北電力などのミラーサーバを用意している。
  • 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)はhttp://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/で、アクセスが集中したり、集中する可能性があるサイトのミラーの提供を開始した。

クラウド各社が支援継続

 さくらインターネットの田中邦裕社長は、3月16日に公開したブログ「大災害時におけるアクセス負荷を軽減させるキャッシュサーバ提供について」(http://tanaka.sakura.ad.jp/2011/03/cache-cdn-server.html)の中で、負荷分散のための提供支援について改めて説明した。

 Webサーバへの負荷集中を防ぐには、「キャッシュサーバの利用」「ミラーサーバ/CDNの利用」がある。さくらインターネットのほか、IBM、インターネットイニシアティブ(IIJ)、Amazon Web Services(AWS)およびAWS User Group - Japan(JAWS-UG)、日本マイクロソフト(Windows Azure)が協力を表明している。

 キャッシュサーバを利用する場合、自治体サーバ管理者側では、ドメイン名に割り当てられたIPアドレスをキャッシュサーバに変更するなどの作業が必要だ。詳細問い合わせは下記で受け付けている。

  • IBM: E-Mail: sbcloud at jp.ibm.com
  • IIJ: E-Mail: gio-rr at iij.ad.jp / WWW: http://cache.iijgio.com/
  • jaws-ug: Twitter: @KenTamagawa / #jawsug / WWW: http://jaws-ug.jp
  • Windows Azure: E-Mail: info311a at microsoft.com / Twitter @shin135 / #JAZUG
  • さくらインターネット: Twitter @kunihirotanaka / @naoto_matsumoto

 例えば、Excel/Accessなどで作成したデータをSQLAzureに入れる際の手順については、マイクロソフトのブログ「accessのデータベースをsql-azureに移す」(http://daiyuhatakeyama.wordpress.com/2011/03/16/)が参考になる。またJAWS-JPはhttp://jaws-ug.jp/で、災害復興支援情報を提供するとともに、「手元の情報をWebサーバで公開したい」「Webサイトのアクセス負荷を軽減したい」場合の手続きをまとめ、紹介している。ライブドアの伊勢氏がまとめている「【東北地方太平洋沖地震】無償サーバリスト」(http://blog.livedoor.jp/koichiise/」)も参考になる。

 なお、これらのキャッシュサーバやミラーサーバは、オリジナルのWebサーバからスタティックに情報を取っている場合もあれば、リバースプロキシを活用している場合もある。アクセスの際には、必ずしも最新の情報が反映されているとは限らない点に注意が必要だ。ただし、前述の文部科学省のサイトのように、公的機関と連携しているオフィシャルな仕組みでは、常に更新が反映されているという。

(@IT 高橋睦美)

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