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開発費、のれん、退職給付、包括利益を議論

単体財務諸表はコンバージェンスせずが多数意見か、報告書公表

2011/04/28

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 日本の会計基準をIFRSへ近づけるコンバージェンス作業における連結財務諸表と単体財務諸表の扱いを議論する検討会議の報告書が、4月28日に公開された。連結財務諸表については従来通り、IFRSへのコンバージェンスを続けるものの、単体財務諸表については現行の日本基準の処理を継続する意見が多く聞かれた。報告書を受けて企業会計基準委員会(ASBJ)が今後、単体財務諸表の扱いを会計基準ごとに最終決定する。

 単体財務諸表の今後の扱いについては企業のCFOや財務会計基準機構、日本公認会計士協会などのメンバーで構成する「単体財務諸表に関する検討会議」が2010年10月から議論してきた。日本基準は2007年の「東京合意」を受けてIFRSとの差異をなくしていく方向性で、2009年6月に公表された「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」では「連結先行」の考えが打ち出されていた。だが、単体財務諸表については扱いがあいまいなままになっていた。

 報告書は各テーマについて最終的な結論は示しておらず、委員の意見を中心に紹介している。IFRSで行っている開発費の資産計上については、単体財務諸表では「当面、現行の費用計上を継続すべきとの意見が多く見られた」と指摘し、その理由として「開発費を費用計上から資産計上に変更した場合、課税関係が変更されることにより、税支出が増加する可能性がある」ことなどを紹介した。一方で、IFRSと同様に資産計上することを支持する意見もあった。

 単体財務諸表における、のれんの償却についても、現行の日本基準と同様に償却することを支持する意見が多かった。その理由は「のれんは、事業買収に伴う将来収益に対応するコストである。のれんの償却後で利益が計上できるか否かが重要であり、収益と費用の対応の観点からも、のれんは償却すべき資産である」など。IFRSと同様に、のれんを非償却にすることを支持する意見では、「投資家の観点からは、連結財務諸表と単体財務諸表に異なる会計処理を採用することにより誤解が生じる可能性があり、両者はできる限り一致することが望ましい」などがあった。

 また、公開草案が既に公表されている退職給付(ステップ1)については、未認識項目の負債計上に当たって、連結先行を含めて変化のインパクトを和らげる激変緩和の措置が必要との意見が多くあった。

 コンバージェンスに関する連結と単体の関係を考え直すきっかけとなった包括利益については、単体財務諸表では包括利益を表示すべきではないとの意見が多かった。意見では「包括利益の問題については、表示の問題にとどまらず、リサイクリングや利益概念の問題と密接に関係する」と指摘。その上で、「その他の包括利益におけるノンリサイクル処理など、当期純利益の内容が変質してきている可能性があり、リサイクリングの問題の整理も重要である。これらの問題を整理することなく、包括利益の表示を行うことは時期尚早である」とした。一方で、単体財務諸表に包括利益を任意適用可能にした上で、リサイクリングを堅持すべきとの意見もあった。

 包括利益は2011年3月期の年度決算から連結財務諸表に適用されている。単体財務諸表に適用するかどうかはASBJが6月末までに判断する。

(IFRSフォーラム 垣内郁栄)

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