日本HP、“環境変化”に柔軟に対応できるシステム構築を支援クラウド化も視野に入れ、アプリケーションの無駄を徹底的に排除

» 2011年05月11日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本ヒューレット・パッカードは5月11日、ITシステム構築支援サービス「Application Transformation」「Hybrid Delivery」に、5つの新サービスを追加した。2010年11月から同社が標榜しているコンセプト「Instant On Enterprise」――変化するビジネス環境に瞬時に適応できる企業――の実現を支援するソリューション群で、クラウド化を視野に入れたアプリケーション・ポートフォリオの見直し/最適化や、多くの企業で使われているメッセージングシステム「Microsoft Exchange」のプライベートクラウド環境への移行などを実現。“柔軟で無駄のないシステム構成”とすることで、経済/自然環境変化にも迅速に対応できるシステム環境を整備するという。

アプリケーション・ポートフォリオを最適化

 これまでも提供してきたITシステム構築支援サービス、「Application Transformation」は、アプリケーション・ポートフォリオを最適化したり、レガシー技術を使ったアプリケーションを最新技術を活用したアプリケーションに置き換えたりすることにより、ITシステムの運用/メンテナンスコストを削減するサービス。今回は、ここに4つの新サービスを加えた。

 1つ目は「Application Rationalization Service」。既存のアプリケーションポートフォリオを把握し、コスト、利用率、セキュリティリスクなどの観点から、「あるべきポートフォリオ」を策定、具体的なロードマップを作成するサービス。本サービスはこれまでも提供してきたが、今回からto beモデル策定に際して「クラウド化への移行」という観点を強化し、より深く分析・考案するという。

 2つ目は「Application Transformation to Cloud」。これはアプリケーションポートフォリオのto beモデルを考案する際、あるべき姿の一候補として「クラウド環境への本格的な移行」を検証するサービスとしている。

 3つ目は「Application Transformation Service」で、1つ目のApplication Rationalization Serviceで策定したto beモデルに基づき、メインフレームやUNIXも含めた既存のOS上にあるアプリケーションを新たな構成・環境に移行するというもの。そして4つ目は、「Application Transformation to Client Computimg」。これは2014年にサポート期間が終了するWindows XPからWindows 7への移行をにらんだもので、クライアントアプリケーションの把握、ポートフォリオの最適化、運用自動化プロセスやクライアント仮想化の適用など、「移行を契機とした最新かつ効率的なクライアント環境へのブラッシュアップ」を支援するという。

すでに、運用コストを3割カットした事例も

写真 同社 執行役員 エンタープライズサービス事業統括 村上申次氏

 5つ目は“その企業にとって最も効率的なIT利用形態”を整備する「Hybrid Delivery」の新サービス、「Exchange Service for Private Cloud」だ。これは、多くの企業で使われているMicrosoft Exchangeをプライベートクラウド環境に移行するもので、「必要に応じてリソース容量を加減することで、より効率的に運用できる環境を整える」という。

 同社 執行役員 エンタープライズサービス事業統括の村上申次氏は、「近年の激しく移り変わる市場環境に対応するためには、ITシステムの柔軟かつ効率的な構築・運用が不可欠。だが、これまで使ってきたレガシー技術が、仮想化技術やクラウド環境を利用した柔軟なシステム構築・運用の阻害要因となる例が多い」と指摘。

 また、東日本大震災以降、データセンターの移転など、柔軟なシステム構築・運用の重要性が一層高まっていることも挙げ、「今回のサービス拡充により、本格的なクラウド化も視野に入れながら、“各社にとって真に最適かつ効率的なシステム環境”整備を支援できる」と解説した。

写真 「東日本大震災以降、柔軟なシステム構築・運用に対するニーズは一層高まっている」という

 なお、各サービスの価格は個別見積もりとしており、おおよそ数百万円〜数億円の規模感。実施期間はApplication Rationalization Serviceが最長3カ月、Application Transformation Service、およびApplication Transformation to Client Computimgが最短3カ月を一つの目安としている。Application Transformation to Cloudについては、「スモールスタートを基本とし、段階的に適用範囲を拡大する慎重・効率的なアプローチを推奨している」という。

 また、各サービスの実施に当たっては、構成管理データベース「HP Universal CMDB」や、2010年9月に買収したフォーティファイのツール群など、日本HPがラインナップしているツール群を駆使して「最適なソリューションを提供する」点も特徴。すでに製造、流通、食品をはじめ、複数の企業にサービスを提供しており、中には「運用コストを30%削減できた事例もある」という。

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