富士通、SASと協業しBAの提供を開始BAソリューション最新版「SAS 9.3」をリリース

» 2011年07月13日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 富士通とSAS Institute Japan(以下、SAS)は、データの分析や予測を行う「Business Analytics(BA)」分野で協業し、富士通がSASのBAソリューションを日本市場向けに販売を行うことで同意した。提案や導入支援は両社が共同で実施していく。

 富士通は、従来より大手企業向けに大規模基幹システムを構築。特にSASが強い大手金融企業向けのBI/BA市場においては、BI/BAと基幹システムのつなぎ込み開発が自然と発生するため、両社共同による開発作業を従来より行っていたという。富士通 マーケティング本部 ソリューション推進統括部 統括部長 大島昭氏は、「当社のクライアントである大手企業では、基幹システムに基幹業務のデータが大量に貯まっている。そのデータを有効に分析/解析し、意思決定に役立てるニーズが高まっており、自然とSASと共同でソリューション提供する機会が増えていた。今回の協業によって、正式に共同での提案やサポートが可能になった点は大きい」とコメントした。

集合写真 左から、SAS Institute Japan 代表取締役 吉田仁志氏、富士通 マーケティング本部 ソリューション推進統括部 統括部長 大島昭氏、米SAS SASフェロー アラン・ラッセル氏

 富士通では、今回の協業によって専任チームを結成。同社の2万人強のSEのうち、すでに十数名がSASの認定資格を取得したほか、今後さらに増やしていく予定。さらに、富士通総研に二十数名いる分析チームとも連携していく。

 BA市場全体で見ると、2010年の国内BA市場成長率は4.2%、そのうちソフトウェアは6%成長(IDC調べ)となっており、SAS日本法人も前年を上回る成長を記録したという。グローバルでは売上高24.3億ドルを記録し、35年連続増収を実現。BAプラットフォーム関連の売上高は26%増と好調だった。

 SAS日本法人は、顧客管理・マーケティング分析ソリューション「SAS Event Based Marketing」が金融業界を中心に好調。メガバンクをはじめ、大手地方銀行にも採用が拡大しているという。今年はさらに地方銀行への採用浸透を図るほか、カード会社や保険会社でもデファクトになるように推進するとした。

 新製品としては、BAプラットフォームの最新版「SAS 9.3」をリリース。主な機能として大容量データに対する分析の最適化が図られているほか、iPhoneやAndroid端末への対応など、モバイルBIの強化が特徴として挙げられる。SAS 9.3は、第3四半期に日本市場にも正式投入される予定。

 また、同社ではリージョン化を推進。アジアパシフィック地域を北アジア(日本、韓国、中国、香港、台湾)と南アジア(オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国)に分割し、北アジアでは顧客数が一番多い日本の吉田仁志社長が北アジア地域統括責任者に就任した。

 米SAS SASフェロー アラン・ラッセル(Allan Russell)氏は、現在の日本のBI/BA市場について「ビッグデータ時代になったいま、このビッグデータを適切に分析し、行動しなければならない。ビッグデータを有効活用した新しいスタイルの意思決定が必要だ。これまでのITと言えば、自動化やレポーティングといった機能が主だったが、これからはデータ活用の時代に入った」とコメント。SAS Institute Japan 代表取締役 吉田仁志氏は、「東日本大震災によって、製造業や流通業には影響があった。しかし、現在では大分落ち着いてきた感がある。今後は、『SAS Event Based Marketing』を中心に、保険やマーケティング業界で差別化を打ち出していきたい」と今年度の状況を説明した。

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