アカマイが震災後の活動を説明

震災後に急増した国内のストリーミングトラフィック

2011/08/03

 アカマイ・テクノロジーズは8月2日、事業説明会を開催した。3月11日の東日本大震災ではインターネットを介した情報収集が着目され、日本国内のトラフィックパターンにも変動が生じたが、「これまでになかったようなアクセスに耐え得るネットワークを構築できたと思っている」(米アカマイ・テクノロジーズ 社長 デビット・ケニー氏)という。

 アカマイは、Webや動画などさまざまなコンテンツの配信を高速化するサービスを提供している。世界72カ国に配置した8万台以上のサーバで構成するインフラとソフトウェア、キャッシュなどの技術を組み合わせ、配信のパフォーマンスを改善するとともに、負荷分散を実現する。さらに、不正アクセスやDoS攻撃を検出し、ブロックするセキュリティ機能も提供している。全インターネットトラフィックの15〜30%はアカマイのネットワークを経由しているという。

 東日本大震災では、携帯電話の輻輳が目立った一方で、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアを通じた情報共有の有用性が注目された。また、停電などでテレビが見られない被災者向けに、Ustreamやニコニコ動画を介して災害報道番組の再配信が特例的に行われ、トラフィックが増加した。

 この結果、アカマイの観測によると、震災前後の日本国内のトラフィックパターンにはやはり変化が生じたという。「地震の瞬間、日本のWebトラフィックは27%ダウンした。だがその後、インターネットで震災関連の情報を収集しようとする人が増えたため、トラフィックも急速に伸びた」(ケニー氏)。同社は国内に分散配置した既存のサーバ群に加え、近隣諸国のリソースを活用することで、増加したトラフィックを支えたという。

 Webトラフィックについていうと、総量は震災の前後で大きく変わったわけではないが、夜間のアクセスが明らかに増えた。もっと大きく変化したのはストリーミングのトラフィックで、それまでの倍以上に急増した。「こういう災害の時には、信頼できる通信手段と『つながっている』という感覚が大切だ。インターネットはその意味で重要な役割を果たした」(ケニー氏)。

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 なおアカマイは、インフラ提供という面からも被災地を支援した。震災直後、地方自治体やいくつかの組織、企業のWebサーバにはアクセスが殺到し、情報閲覧が困難になったが、そうした組織にアカマイのインフラを提供し、キャッシュサーバを立ち上げることで、重要情報の提供を支援した。福島県のほか、ライブストリーミングを行った東北地方のラジオ局などがこれを活用したという。

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(@IT 高橋睦美)

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