「ほかのリージョンと構成はまったく同じ」

AWSが米国政府専用リージョンを提供開始

2011/08/17

 Amazon Web Services(AWS)は8月16日(米国時間)、米国政府機関や関連業者専用のリージョン(データセンター群)を提供開始した。AWSが一般に提供しているリージョンと同一の構成でありながら、米国務省の国際武器取引規制(ITAR)関連のデータ処理や保存に対応していると、AWSのブログで同社のジェフ・バー(Jeff Barr)氏は強調している。

 新リージョン「AWS GovCloud(US)」は米国西海岸に開設。専用リージョンなので、これらのデータセンターでサーバ/アプリケーションを動かすのは、米国の連邦・地方政府機関や関連業者に限られる。また、ITARの定める要件に基づき、物理的/論理的アクセスは米市民および米国永住権取得者に限定される。

 「AWS GovCloudにアクセスする必要のある組織は、AWS GovCloud(US)Enterprise Agreementを締結しなければならない。また、このリージョンはアクセスの必要性を証明できる政府機関のコントラクタ、ソフトウェアインテグレータ、サービスプロバイダもアクセスできる」(AWSブログより)

 AWSはAWS GoveCloud(US)のITARへの準拠につき、第三者によるレビューを受けて肯定的な結果を得たという。

 AWS GovCloudでは、現在のところAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)、Amazon Simple Storage Service(S3)、Amazon Elastic Block Store(EBS)、Amazon CloudWatch、AWS Identity and Access Management(IAM)を提供している。すべてのEC2インスタンスは、Amazon Virtual Private Cloud(VPC)で保護することが利用の要件となっている。

 AWSは新リージョンの価格表も公表している。これを見ると、EC2のLinux/UNIXのオンデマンドインスタンスの価格は、Tokyoリージョンとほとんど同じだ。他のリージョンにない特徴的な点として、SUSE Linux Enteprise、Redhat Enterprise Linux、WindowsおよびSQL Serverのインスタンスが価格表に加わっている。

aws01.jpg GovCloud(US)のEC2価格表の一部

 バー氏はAWSブログで、同社は米国政府以外の政府機関に対し、同種のサービスを提供するつもりがあるとしている。また、同社が一般提供しているAWSサービスについても同様のセキュリティを保っていることを、次のように説明している。

 「米国民への制限と、EC2インスタンスがVPC内で起動されなければならないという要件を除けば、われわれは通常の運用システムや運用手順にほかの変更を何もしていない。言い換えれば、既存のリージョンのセキュリティ・プロファイルは、重要な処理やデータを保護するに足りるレベルだ。実質的にわれわれは、単に入口の部分にゲートを設け、『パスポートあるいはグリーンカードを提示してください』というサインを掲げただけだ」

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(@IT 三木泉)

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