OpenStackとの連携も強化へ

シトリックスがCloudStack完全無償化でヴイエムウェアを攻撃

2011/08/30

 米シトリックスシステムズが8月29日(米国時間)、ヴイエムウェアのVMworldにぶつける形で、CloudStackの完全オープンソース化/完全無償化を発表した。CloudStackはシトリックスが今年7月に買収したCloud.comのクラウド構築・運用ソフトウェア。これまでオープンソースのコードベースと、商用版のコードベースが分けてメンテナンスされてきた。シトリックスはこの2つをマージし、無償提供を開始した。同社は一方で、有償のサポートサービスを提供していく。

 シトリックスのクラウド事業責任者だったルー・シプレー(Lou Shipley)氏は今年、@ITに対して同社のクラウド戦略を説明した際、クラウド・オーケストレーション・レイヤ(すなわちクラウド構築・運用ソフト)で儲けるつもりはないと話していた。その上下のレイヤをビジネスとして推進していくとの認識だ。

 また、シトリックスのクラウドCTOだったサイモン・クロスビー(Simon Crosby)氏は昨年、XenServerでどのように儲けているのかと@ITが質問すると、「ヴイエムウェアのネガティブな売り上げを考えてみろ」と答えていた。つまり、XenServerが無償で提供されていることが、ヴイエムウェアのVMware vSphereの売り上げを引き下げているはずで、これがシトリックスにとって十分な意味を持つとの認識だった。シトリックスは今回の発表で、これと同じことをクラウド構築・運用ソフトとしてのVMware vSphere/vCloud Directorに対して行おうとしていると解釈できる。

 シトリックスのプレスリリースでは、すでに新バージョン(CloudStack 2.2.11)をcloudstack.orgで無償ダウンロード提供開始したとしているが、記事執筆時点ではプレビューリリースとして、SourceForgeで提供を開始している。

 なお、シトリックスのプレスリリースは、「Citrix Systems today announced a new edition of CloudStack, which will feature enhanced support for both the VMware vSphere and Oracle VM hypervisors」という表現で始まっている。これは「サポートをVMware vSphereおよびOracle VMに広げた」とも、「VMware vSphereおよびOracle VMに対するサポートを拡張した」とも解釈できる。

 実際には、VMware ESX/ESXiへのサポートについては、CloudStackの商用版ではすでに提供している。もともとCloudStackではハイパーバイザ非依存を標榜しており、オープンソースXen、XenServer、KVMとともにESXをサポートしてきた。Oracle VMのサポートについては10月、そしてHyper-Vのサポートは第4四半期中に提供すると、今回のニュースリリースで同社は明らかにしている。

 では、改めてCloudStackとOpenStackの関係はどうなっていくのか。シトリックスのクラウド・プラットフォーム・グループ チーフ・クラウド・アーキテクトのクリスチャン・ライリー(Christian Reilly)氏は、ブログに次のように書いている。

  • (今後)OpenStackの検証済みバージョンを、クラウドに特化したバージョンのXenServerとともにリリースする(Synergyカンファレンスで『Project Olympus』として発表したもの)
  • OpenStack APIのサポートを今後のCloudStackのリリースに組み込む。これにより組織は既存のOpenStackツールを使ってCloudStackにより展開されたインフラを管理できるようになる
  • CloudStackとOpenStack双方のプラットフォームを共通に管理できる、分かりやすい管理インターフェイスを提供していく
  • CloudStackとOpenStackの間で双方向のマイグレーションを提供する

(@IT 三木泉)

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