きめ細かな制御性やサポートサービスを強調

EMCのストレージサービス事業者向け製品、Atmosの強みとは

2011/11/30

 EMCジャパンはオブジェクトストレージ「EMC Atmos 2.0」の国内での販売と出荷を、11月29日に開始したと発表した。Atmosはハードウェアには標準的なx86アーキテクチャのサーバとSATAディスクシェルフを組み合わせ、ラックにマウントしたものを用い、REST/SOAP APIでのデータアクセスを可能とするストレージ管理ソフトウェアを搭載する。EMCジャパンは、コスト、拡張性、柔軟性を武器として、画像などのコンテンツを多用するWebサービス提供者やクラウドサービス事業者をメインターゲットとして、販売活動を行う。

 Atmosでは保存するオブジェクトに一意のIDを付与して、これを使いHTTPによるアクセスを行う。負荷分散装置を立てることで、複数サーバにまたがって単一のネームスペースによるデータ管理が可能。このため拡張性は基本的には無制限。負荷分散装置のグロ−バルロードバランス機能を使えば、距離の離れた複数拠点に分散配置されたAtmosを、単一のストレージプールとして使える。

emc01.jpg REST APIでAtmosを使う

 図のような形で、アプリケーションからAtmosに対し、データの保存や取得を行える。米EMCはAtmosに関する開発者向け情報を同社サイトで提供している。Java、.NET、Ruby、Python、JavaScript、C、PHP、iOS、Flex用のライブラリに加え、WebDAVプロキシ、CMSのDrupal用のコネクタを提供。開発者向けにAtmosの評価版も無償提供している。

 また、ユーザー認証、アクセス情報やメータリング(データ転送量を含む)情報に基づく課金管理、システム管理ポータルをパッケージした「Atmos Cloud Delivery Platform」を販売している。

 Atmosはデータの冗長性確保でさまざまな選択肢を提供している。オブジェクトを複数ノードに複製する機能については、複数の数を任意に設定できるようになっている。配置場所を加味して、「遠隔拠点Aに2コピー」といった設定も可能。また、RAIDに似た仕組みとして、オブジェクトを例えば9個に分割し、3個のパリティを付加して複数ノードに分散するといったこともできる。さらにAtoms同士での遠隔複製も可能だ。

 Atmosでは、オブジェクトやユーザーIDなどの属性単位で、データ保護レベルなどに関するポリシーを適用できる。オブジェクト保存時に付加するタグに、ポリシーを割り当てることも可能。さらに特定期間アクセスがなかったオブジェクトに対し、自動的に別のポリシーに切り替えるといたデータのライフサイクル管理機能も備えている。

 この製品では、ストレージサービスの「また貸し」にも対応する。Atomsで構築したストレージインフラをノード(サーバ)単位でグループ化し、この1つ1つのグループについて、テナントに対し管理権限を委譲できる。さらに、このノードグループを論理的に分割して、サブテナントに個別のID/パスワードを提供することも可能だ。

 クラウドストレージサービス事業者を支援する、EMCならではの面白いソリューションとして、「Cloud Tiering Appliance」がある。「Rainfinity FMA」を名称変更したものだが、これを使うと、EMC VNXやNetApp FASシリーズから、Atmosを使ったクラウドストレージサービスに対し、事前設定のポリシーに基づく自動アーカイブができる。これを活用して、企業向けのファイルアーカイブサービスを提供できる可能性もある。

 また、EMCは「EMC GeoDrive」というWindows/Linuxアプリケーションを事業者に無償提供している。このアプリケーションにより、エンドユーザーは、Atmosベースのストレージサービスを仮想ドライブとしてマップして利用できる。GeoDriveは事業者が自由にリブランディングできる。

 スケールアウト型のストレージは、オープンソース・ソフトウェアも含めて最近多数登場している。事業者はコスト効率よくサービスを提供するために、オープンソース・ソフトウェアに注目しがちだが、比較の結果、サポートが充実していることから、Atmosを選ぶケースが多いとEMCジャパンでは話している。

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(@IT 三木泉)

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