「知見の発信でグローバルに貢献を」

枯渇対応タスクフォース、IPv4/IPv6共存に向け活動を再定義

2011/12/02

 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースは11月28日、IPv4アドレス在庫の枯渇を大きな混乱なく乗り切ることができた成果を踏まえ、活動の再定義を行った。

 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースが発足したのは2008年9月のことだ。当時すでに、IPv4アドレスの在庫が2〜3年後にも枯渇し、新規の割り当てが困難になると予測されていた。同タスクフォースはこの問題への対策を目的に発足し、根本的な解決策であるIPv6への移行を支援するため、各種教育プログラムの推進やテストベッドの提供といった活動を行ってきた。

 実際にIPv4アドレスの在庫が枯渇したのは2011年2月だが、今のところ大きな混乱はない。また併行して、IPv4とIPv6が共存するネットワークへの移行が始まりつつある。

 こうした背景を踏まえ、一定の役割を果たしてきたタスクフォースも「解散してもいいのではないかという意見もあった。だが一方で、新たにやらなければならないことも出てきた」と、江崎浩氏(東京大学 大学院 情報理工学系研究科 教授、IPv6普及・高度化推進協議会 専務理事、日本データセンター協会 理事)は述べた。

 11月28日にまとめた再定義「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース リチャーター」では、IPv4/IPv6共存ネットワークに関して、今なお「運用、セキュリティ、アプリケーション開発における課題やベストプラクティスの共有が進んでいないものも多い」と指摘。さらに、アプリケーション/コンテンツサービスプロバイダーや企業ユーザーなどでは、「IPv6対応に関する意識の濃淡も大きい」という。

 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースはこうした背景を踏まえ、IPv6とIPv4の共存環境における課題と対処方法の共有、展開といった活動に、2013年3月末まで取り組む。

 例えば、6月8日に実施された「World IPv6 Day」では、IPv4へのフォールバックにともなうアクセス遅延などが報告された。また、課題の1つとして挙げられているセキュリティに関しては、IPv4でNAT付きで動いていたこれまでのネットワークとは違うセキュリティポリシーや対策が必要になる。

 江崎氏は、11月29日に行った「Global IP Business Exchange 2011 Autumn」の中で、「特に、データセンターやクラウド業界にとって、IPv4アドレス在庫がなくなったことは大きなインパクトがあるし、携帯電話をはじめとするモバイル業界にも、IPv6移行促進に向けた課題がある」と指摘。通信事業者やISPといった、いわゆるネットワーク事業者以外の人がIPv6対応を進めていくための支援を行いたいとした。

 同時に、「日本の知見を世界に発信し、グローバル、特にアジア地域からの期待にしっかり応えることが大切だ」(江崎氏)

(@IT 高橋睦美)

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