国内におけるストレージ事業を強化へ

アプリに最適化できるオラクルのストレージ、「Plliar Axiom」とは

2012/02/01

 日本オラクルは1月31日、ミッド/ハイエンドのユニファイドストレージ「Pillar Axiom 600」を提供開始したと発表、併せて国内におけるストレージビジネスの強化を発表した。

 Axiom 600は、高ストレージI/O用途に向けたストレージ製品。同社の既存製品「Sun ZFS Storage Appliance」が高コストパフォーマンスと拡張性/柔軟性でクラウドサービス事業者に評価されているのに対し、企業向けアプリケーションで安定した性能が要求される場面に向けた製品という。従って、この製品における最大の力点は、高スループットとQoS管理だ。特に、アプリケーション単位で、ストレージI/OのQoSを最適化できる点をウリとしている。

 Axiom 600は独特な構成を持つ。Axiomで「Slammer」と呼ばれるストレージコントローラは、SAN/NASインターフェイス、デュアルのコントローラCPU、I/O制御エンジン、および48GBのキャッシュを備えるが、RAIDコントローラは持たない。

 RAIDコントローラ(こちらも少量キャッシュを備える)はドライブエンクロージャにつけられており、これを「Brick」と呼んでいる。SlammerとBrickをブロックのように組み合わせて、スケールアウト的に拡張できる(ほかに管理モジュールも必要)。Slammerは1システムに4ユニットまで増設可能。1筺体に2つのRAIDコントローラと、12あるいは13基のドライブを備えたBrickは、1システムに64ユニットまで増設できる。

oracle01.jpg 「Slammer」「Brick」などを組み合わせて構成する

 Slammerには、アクセスプロトコルによってFibre Channel、iSCSI、NAS(CIFS/NFS)の3種類がある。Brickには、搭載する記憶媒体により、Fibre Channel、SATA、SSDの3種類がある。

 Axiom 600では、利用するアプリケーションそれぞれに対し、優先度(「Premium」「High」「Medium」など)とI/O特性(「シーケンシャル」「ランダムリード重視」「ランダムライト重視」など)を設定する。これに応じ、このアプリケーション用のLUN/ボリューム作成時に記憶媒体(SSD、FC、SATAのいずれか)、RAIDレベル(RAID5あるいはRAID10)、ストライプドライブ数が決まる。さらに、SlammerのコントローラのCPUサイクルおよびキャッシュ占有率が設定される。特定アプリケーションのトラフィックに、別個のSlammerを割り当てることもできる。Axiomでは、1つのLUN/ボリュームを1つのアプリケーションが利用することを前提としている。すなわち、結果的にはLUN/ボリュームに対して優先度を割り当てていることになる。

oracle02.jpg アプリケーションに基づき、CPUやキャッシュの利用率、ストライプドライブ数、ドライブタイプなどを設定してQoSを確保する

 こうした設定に基づき、Axiomはストレージアクセスを受けると、そのアクセス先LUN/ボリュームに応じ、適切な優先度を適用して処理する。

 なお、ストレージトラフィックの増減を自動的に監視し、これによって優先度を動的に変更するような機能はないようだ。また、ミッド/ハイエンドのストレージで一般化しつつある自動階層化管理のような、記憶媒体の階層間でデータブロックを自動的に移動する機能もない。すなわち、SSDを使う設定がなされた(アプリケーションのデータを管理する)LUN/ボリュームは、トラフィックパターンがどう変わろうともSSDを使い続けることになる。

 だが、決算処理時期などで特定アプリケーションの優先度を上下したい場合には、そのアプリケーションのQoS設定を管理者が変更すると、これに応じてCPUやキャッシュ利用の優先度が自動的に再設定され、さらに管理者が望む場合には適切な記憶媒体にデータを自動移行することが可能。

 アプリケーションの特性に応じたQoS設定については、主要アプリケーションのテンプレートを用意しているという。

 Axiom 600は、このほかにシン・プロビジョニング、ストレージの論理分割(ドメイン分割)、LUNや NASファイルシステムの複製、スナップショットなどの機能を持つ。オラクル製品に対応した機能としては、ハイブリッドカラム圧縮への対応、Oracle Enterpirse Managerからの管理、Oracle VM管理ツールからの管理、他のオラクルストレージ製品との統合による階層型ストレージの構築、などがあるという。

 Pillar Axiom 600の日本市場における展開として、日本オラクルはまず自社による直接提案で、導入実績を積み上げるつもりという。パートナーについては、既存パートナーに働きかける一方、Axiomに特化したパートナープログラムを拡充していくという。

 日本オラクルは、ストレージ関連製品としてAxiomのほかに、前述のZFS Storage Appliance、そして旧ストレージテックの「StorageTekテープ・ストレージ」を持っている。特にテープ装置は安定的な売り上げを見せているようだ。だが、旧サンマイクロシステムズの販売パートナーが離れていってしまっているのではないかという問いに、日本オラクル 執行役員 システム事業統括の野々上仁氏は、製品の魅力でパートナーの支持を取り戻したいと答えた。

(@IT 三木泉)

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