日本オラクルが2013年度事業戦略説明会を開催

顧客に“ワオ!”と言わせるオラクルに〜遠藤社長

2012/07/11

 日本オラクルは7月11日、報道関係者向けに「2013年度日本オラクル事業戦略説明会」を開催。同社 代表執行役員 最高経営責任者 遠藤隆雄氏が、同社の新しいキーワード「Unleash Innovation(イノベーションを解き放つ)」を揚げるなど、同社の方向性を示した。

イノベーションこそが企業を支える

 遠藤氏は、冒頭同社の業績に触れ「リーマンショックの影響で当社も売り上げを1100億円程度まで落とし、辛い状況にあったが、2012年度は1429億円まで増やすことができた。2000億円を目指したい」とコメント。

遠藤氏写真 日本オラクル 代表執行役員 最高経営責任者 遠藤隆雄氏

 売上高2000億円に向けたキーワードとして昨年「Simplify IT」を揚げ、「エンジニアド・システムズ」や「垂直統合」「オンプレミス」「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」といった、各スタックにおいてNo.1のポジションを目指し、さらにそれらを垂直調合させることで同社としての強みを示していくとした。

 同氏は日本におけるサービスコストの投資額の多さを指摘。「日本は欧米と比較して、運用/サービスにかけるコストが高すぎる傾向にある。ITコストの半分以上がサービスコストだ。これを少しでも低減させ、製品コストに回してもらいたい。そのために、無駄な追加開発コストを減らしていきたい」と述べた。

 そして、新たに揚げたキーワード「Unleash Innovation」について、「昨年キーワードとして『Simplify IT』を揚げたのだが、顧客から『Simplify ITだけだと寂しいよね』と言われ、同感した。そこで、さらに『Unleash Innovation』を付け足し、この2つセットで会社を推し進めていきたい。ここ10年間における世界経済の成長は、2/3が新興ビジネスから産まれている。イノベーションこそが企業を支える」と語り、イノベーションの重要さを説いた。

 一方、イノベーションを産み出すためには、「新しい可能性を産み出すためのワークスタイル変革」や「情報活用」が必要だと説明。産み出したイノベーションを源泉に、「顧客に『ワオ!』と言わせるような、カスタマーエクスペリエンスを提供したい」と抱負を示した。

まだたくさんあるSolarisの資産を生かすために今後も提供していく

 続いて登壇したのは、日本オラクル ソフトウェア事業統括 副社長執行役員 大塚俊彦氏。大塚氏は、遠藤氏が揚げたキーワード「Unleash Innovation」を実現するための戦略として、業種別ソリューションの強化を挙げた。

 具体的には、「航空および防衛」「自動車」「化学」「通信」「土木建築」など、20種類以上の業種別ソリューションごとに作戦を立て注力。産業別に強い製品を買収するなどして強化してきており、すでに各インダストリーのほとんどの業務をカバーできているとした。

 事例としては、例えばNTTドコモの場合、顧客情報分析を最大95倍高速化したほか、全日本空輸は空席照会レスポンスが10倍向上、楽天証券は株価参照取り引き処理が最大7倍に高速化されたという。大塚氏は、「主に高速化を実現したケースが多いが、当社の技術によって初めて遠距離バックアップに成功した例や、コスト削減を実現したケースもある。ユーザーのさまざまなニーズを、イノベーションを以て解決したい」語った。

 また、日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括 三澤智光氏は、「Oracle Applications」「Oracle EPM/BI」「Oracle Fusion Middleware」「Oracle Database」の4つの主力事業に加えて、新たに「Oracle Cloud」を加えてこれを推進していくとした。

 さらに、同社 バイスプレジデント システム事業統括 飯尾光國氏は、2011年10月に発売された汎用エンジニアド・システム「SPARC SuperCluster T4-4」の国内初採用事例として、株式会社アウトソーシングを紹介した。

 「SPARC SuperCluster T4-4」は、OS「Oracle Solaris 11」と「SPARC T4」サーバを搭載し、ストレージコンポーネント「Exadata Storage Cell」やストレージ基盤「Sun ZFS Storage 7320 Appliance」などを事前に統合し、構成を最適化したうえで提供される製品。オラクルがあらかじめ組み合わせ/検証をしておくことにより、導入期間や導入コストを大幅に削減できるという。「『SPARC SuperCluster T4-4』の導入によって、アウトソーシング社は5年間で2億円以上のコスト削減を見込んでいる。さらに、営業効率を改善したことで、年間の1000万円以上のコスト削減効果を想定している」(飯尾氏)と語り、エンジニアド・システムの効果を説明した。

 また、今後のSPARCやSolarisの展開について遠藤氏は、「まだSolarisを使っているユーザーはかなりいる。そして、Solarisの既存資産も多くあるため、これを今後もそのまま生かしていきたいというニーズはまだまだ多い。そのニーズに対して、最新のサーバパワーを提供するために今後もSPARCは必要だ。当社はこのニーズに応えるため、今後もSPARCとSolarisに投資していく」とコメントした。

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(@IT 大津心)

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