アイデアを形に、そしてビジネスに

もう環境構築で挫折しない? ニフティがPaaSの提供開始

2012/08/01

 ニフティは7月31日、アプリケーションプラットフォームサービス「ニフティクラウド C4SA」の正式提供を開始した。これまで提供してきたIaaSに加え、PaaS分野にも手を広げることになる。同日夜に開催したイベント「ニフティクラウドC4SA Meetup!」において、ニフティのクラウド事業部クラウドビジネス部 五月女雄一氏は、「アイデアを形にする手助けをしたい」と述べた。

c4sa01.jpg ニフティ クラウド事業部クラウドビジネス部 五月女雄一氏

 ニフティクラウド C4SAのC4SAとは「Cloud for Scalable Application」の略だ。ニフティクラウドのインフラ上に、データベースサーバ(現在はMySQLのみ)のほか、Ruby、PHP、Pythonといった開発言語やRuby on Rails、CakePHP、Djangoといったフレームワークを用意している。WordPressやPukiWiki、concrete5、CandyCaneなどのアプリケーションも含まれており、専門知識などがなくても、容易にWebサービスやSNSサービス、スマートフォン向けアプリを開発し、展開できるよう支援する。

 「初心者プログラマやデザイナーの少なくない数が、何か新しいことを試してみようとか、勉強してみようと思っても、環境構築のところでつまずいてしまっている。ニフティクラウド C4SAでは、思い立ったらすぐに開発をできるようにした」(五月女氏)。ファシリティや環境構築にわずらわされることなく、開発に必要な機能を使いやすい形で提供し、しかも、FacebookやTwitter、GitHubといったソーシャルアカウントでそのままログインできるようにして、その障壁を下げたという。

 ニフティクラウド C4SAの基本単位は、「キャンバス」と呼ばれる。1つのキャンバスでは標準で、メモリ512Mbytes、ディスク1GBのリソースを利用でき、あらかじめ用意されたメニュー(「コンテクスト」と呼んでいる)の中から使いたい開発言語やフレームワークを選択するだけで環境が整う。「1分くらいでできてしまう」(五月女氏)。

 構築したキャンバスに対する操作はWebブラウザ上から行える。環境のバージョン変更やファイル編集のためのインターフェイスが用意されているほか、一部機能に限定されているとはいえ、CUIも用意されている。

 ニフティクラウド C4SAの特徴は、構築だけでなく運用面も視野に入れて支援すること、複数の開発者やデザイナーによる共同作業を支援する機能が付いていることだ。「いままでPaaSというと実行環境の提供のみがいわれてきたが、われわれは、開発環境、運用環境の3つを、自由度を損なうことなくそろえていきたい」(五月女氏)。

 例えばサービス公開後も、負荷状況やログなどを確認できる運用機能が提供される。どのくらいのアクセスがあるかを確認し、必要に応じてアプリケーションに手を入れたり、サーバの再起動を行ったり……といった操作が、すべてWebブラウザ上から可能だ。場合によっては、CPUやメモリ、ディスク容量などを追加できる「スケールアップ」機能も利用できる。8月には、スケールアウト機能も提供する予定だ。

 また、開発者やデザイナーによる共同作業を支援するため、キャンバスは複数のユーザーで共有可能だ。GitHubからのチェックアウトやWebDAVによるデプロイも行える。

 今後は、JavaやNode.js、あるいはMongoDBなど、対応する言語やデータベースの拡充を予定しており、「HaskellでもClojureでも、自分の好きな言語の布教にも使えるようにしたい」(五月女氏)そうだ。また、例えば、Twitterへのログイン機能など共通する機能や面倒な機能をコンポーネント化して提供することも考えている。「『何か作りたいな』というときに、こうした部品を組み合わせることで、そのアイデアを形にできるようにしていきたい」(五月女氏)。

 ニフティクラウド C4SAの料金は、1キャンバス当たり月額945円から。企業のみならず個人ユーザーでも手軽に利用できるサービスとして提供していく。

「アイデアを形にする」だけでは不十分?

 7月31日に行われたイベント「ニフティクラウドC4SA Meetup!」では、五月女氏のプレゼンテーションに続き、co-meetingの取締役 CTOを務める吉田雄哉氏が、サービス提供者の立場からPaaSへの期待を語った。

 同社はニフティクラウドのIaaSを利用して、リアルタイムのテキスト会議サービス「co-meeting」を提供している。トラフィック、特に多くのダウンストリームが発生するサービスを提供している以上、インフラに高い性能が求められること、そして「複雑なインフラを、限られたリソースで回すのはなかなか厳しいから」(同氏)というのが、ニフティクラウドを採用した理由だ。

c4sa02.jpg co-meeting 取締役 CTO 吉田雄哉氏

 実は、サービス開始時点でもPaaSを使いたかったそうだが、当時はなかなか要件に見合うものが見つからなかったという。PaaSが出そろってきたいま、co-meetingをPaaSに移行できないかどうか検討した結果は次のようなものだ。

 「Azureの場合はRubyがサポート外なのがちょっときつい。Herokuはアドオンが多く任せられる部分が多いのだが、日本にないことがネックになる。C4SAはどうかというと、ニフティクラウドストレージとの組み合わせでけっこう使えそうだな、という感触だ」(同氏)。ただ、co-meetingではMongoDBやRedisを利用していることから、「MySQLだけじゃなく、MongoDBやRedisにも早く対応してほしい」というのが率直な要望だそうだ。

 吉田氏はさらに踏み込んで、「アイデアを形にするのはどこのPaaSでもやっていること。アイデアをビジネスにしなくてはならない。本当にエンジニアのことを思うならば、ビジネスを支える覚悟も持ってほしい」と述べた。

 「いくら国産のPaaSだといったり、サービスをすぐに動かせても、誰にも見向きもされなければ意味がない。ここに集まっている開発者には、『社会的に価値あるもの』を作ることが期待されている。そうしたものを僕らが作ることで、はじめてチャンスが生まれる。そうすればシリコンバレーと同じことが起こるだろう」(吉田氏)。

 同氏は、ニフティクラウドには「国産クラウドの意地を見せてもらいたい」と、会場に集まった開発者には、「多くの人が使えるもの、きちんと利用してもらえるものを作ってビジネスとして成り立たせよう」と呼び掛けてプレゼンテーションを終えた。

 なおその後のライトニングトークでは、デイリーポータルZのWebマスター、林雄司氏も登場。触るのは初めてだというPHPで「1日で作成した」(同氏)という自作アプリ「絶賛タイムライン」や「ハヤシネーター」を披露し、会場から絶賛を受けていた。

(@IT 高橋睦美)

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