Evernote CEO 緊急来日!

「紙」をなくすことはできなかった――Evernote CEO が語る

2012/09/04

 9月1日、「Evernote スマートノートブック by Moleskine(以下、Evernote スマートノートブック)」の発表記念イベントが開催された。イベント会場である有楽町LOFT内イベントスペースには、Evernote CEO フィル・リービン(Phil Libin)氏と、Moleskine Asia Ltd. 代表 アレッサンドロ・ファソーリ氏が駆けつけ、Evernoteとモレスキンのパートナーシップを発表した。

Evernote CEO フィル・リービン氏(左)とMoleskine Asia Ltd. 代表 アレッサンドロ・ファソーリ氏(右) Evernote CEO フィル・リービン氏(左)とMoleskine Asia Ltd. 代表 アレッサンドロ・ファソーリ氏(右)

 フィル・リービン氏は今回のコラボレーションについて、次のように話す。「Evernoteにとって、紙とペンというのは一番大きなライバルであった。私は、どうすればこの、『紙とペン』に勝つことができるのか、とかつて考えていた。しかし、ここに挑むのは、大変に厳しいものだった。なぜならば、Evernoteというソフトを提供している社長の私でさえ、いつも紙とペンを使っていたからだ。それは、なぜか。なぜ、人々は紙とペンから完全に解放されないのか。答えは、紙とペンでの体験が、あまりにも美しいからである」(同氏)。フィル氏は、「『紙にペンで書く』という体験は、スマートフォンなどのガラス上でタイプする経験とはまったく違うものである」と語った。

 モレスキンとのプロジェクトが始まったのは、1年前。自身の体験から、「紙とペンを手放す必要はないことに気付いた」という。「IT企業であっても、ITに限定することはない。紙とペンで、よりクリエイティブで素晴らしい体験ができるのであれば、それらアナログとデジタルを融合していけばいい」(同氏)。

 例えば、会議中にパソコンを開いているのと、紙とペンを用意しているのとではまったく逆の効果があるという。パソコンを操作しながら人の話を聞くという行為は、話をしている側から見れば、失礼な行動に見えることがある。しかし、紙にメモを取りながら聞いている様子を見て、失礼だと感じる人は少ない。むしろ、好感が持てる。つまり、Evernoteにとって重要なことは、紙をなくすことではなく「アナログの世界をいかにデジタルの世界に取り入れるか」「そこからどのような素晴らしい体験ができるか」なのだと話す。

 フィル氏は、早速、その「Evernote スマートノートブック」の魅力を身をもって教えてくれた。

Evernote スマートノートブック by Moleskine にサインを書くフィル氏 Evernote スマートノートブック by Moleskine にサインを書くフィル氏

 例えば、「サイン」も、紙とペンでしか得られない体験ではないだろうか。サインは自筆だからこそ価値がある。だが、自筆サインをただとっておくのではなく、もらったその場ですぐにサインを撮影すれば、日時を記録する「タイムスタンプ」と場所を示す「ロケーションスタンプ」といった情報も一緒に記録される。Evernote スマートノートブックには、ドットのパターンがあり、撮影時の影やゆがみも補正してくれるという。これは、先日発表された「ページカメラ」の機能によるものだ。

 また、このノートには、「Moleskine スマートステッカー」と呼ばれる専用のステッカーが付いている。この専用ステッカーを含むページを撮影すれば、ステッカーをタグとして認識し、分類も自動的に行われる。ステッカーとタグは1対1の関係にになっており、カスタマイズが可能。自分だけでなく、社員全員で共有し作業することもできるという。

 現在は、iOSのみの対応だが、間もなくAndroidへの対応が発表されるとのこと。「Evernote スマートノートブック」は、8月25日よりMoleskine 公式オンラインショップで予約受け付けを開始。10月1日に、出荷を開始する。

 フィル氏は今回の試みについて、「これは第一歩にすぎない。今後も、モレスキンとEvernoteが持つそれぞれのパワーを融合し、自分たちが使いたいと思うプロダクトを生んでいきたい」と述べた。

(@IT 太田智美)

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