The Microsoft Conference基調講演で4つの主要機能を紹介

「データセンターを丸ごと1つのサーバに」、Windows Server 2012ローンチ

2012/09/28

 日本マイクロソフトは9月27日、「The Microsoft Conference」の開催に合わせ、サーバOSの新バージョン「Windows Server 2012」の提供を開始した。同社によると、すでに200種類以上のサーバがWindows Server 2012の認定を取得しているほか、年内に260以上のアプリケーション、130以上のSIソリューションが対応、提供されるという。

 米マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデント 沼本健氏は、「Windows Server 2012が実現する、ハイブリッドクラウドの全貌」と題する講演の中で、Windows Server 2012を、Windows AzureやMicrosoft SQL Server 2012とともに「クラウドOS(Cloud OS)」ビジョンを形作る重要なピースの1つであると説明。これらを通じて、データセンターの進化を加速させていくと述べた。

server201201.jpg 米マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデント 沼本健氏

 沼本氏はまず、デバイスの多様化と新しいアプリケーションの普及、それにともなうデータの爆発的な増加といった要因によって、「クラウドへの関心が加速しており、いま、OSというものの定義を再認識すべき時期に来ている」と述べた。

 つまり、これまで1台1台の物理的なサーバに閉じていたコンピューティングやストレージ、ネットワークといったリソースを最大限に利用するため、「データセンターを丸ごとリソースプール化し、1台のサーバのようにして使えるプラットフォームが必要だ」(同氏)。同社はそれを総称して「クラウドOS」というビジョンで表現している。

 「クラウドOS」というコンセプトは多くのベンダが提唱しているが、マイクロソフトではまず、Windows Azureによって、パブリッククラウドサービスを具現化。一方、自力でプライベートクラウドを構築するためのツールがWindows Server 2012であり、SQL Server 2012やアプリ開発環境のVisual Studio、デプロイや一元管理を支援するSystem CenterやPowerShell、Active Directoryであるとした。

 「コンピューティングリソースだけでなく、ストレージやネットワークも包括的なクラウドOSとして仮想化を実現している。それを先陣切って提供するのがWindows Server 2012だ」(沼本氏)。

仮想化機能の強化などでデータセンターの進化を加速

 続いて登壇した日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部本部長の梅田成二氏は、180以上あるというWindows Server 2012の新機能の中から、「包括的な仮想化」「クラウド連携」「Windows 8連携」「事業継続」という4つの機能を取り上げて紹介した。

 最も力を入れているのが、Windows標準のハイパーバイザである「Hyper-V」の強化だ。性能と拡張性を大幅に強化しており、1つのホスト上で最大1024の仮想マシン(VM)、クラスタ構成では最大8000のVMを稼働できるようになった。梅田氏は、競合となるVMWare vShpere 5.1と比較しながら、「追い越し、追われる立場になった」と述べた。また、ダイナミックメモリの最適化によって、多数のVMが稼働している環境でもパフォーマンスを落とさず処理を行えるようにしている。

 現場レベルで重宝しそうなのは、同時にライブマイグレーションできる台数に制限がなくなったこと。「手動で作業するのではなく、50台や60台といった数を一気に移動できるため、メンテナンス性が向上する」(梅田氏)。

server201202.jpg

 ストレージの仮想化機能も実装した。物理ディスクで使われていない余った部分をプール化し、1つの仮想ディスクとして利用できるようにする。同時に重複排除を加えることで、利用効率も向上させる。「データセンターの中だけでなく、オンプレミスの環境でも有効に活用できる技術だ」(梅田氏)。

 2つ目のオンプレミスとクラウドの連携では、Windows Azureで提供を開始したIaaSに、手元のサーバを切り出して移動できるようにした。「ファイルのコピー&ペーストと同じ感覚で、サーバをオンプレミスからクラウドに持っていくことができる」(梅田氏)。

 Windows 8との連携に関しては、RDP(Remote Desktop Protocol)をバージョンアップしてデスクトップ仮想化のパフォーマンスを向上させた。データの種類に応じて描画を最適化するほか、圧縮技術を取り入れることで、高速化とネットワーク負荷の軽減を両立させるという。

 最後のシステムバックアップに関しては、Hyper-Vを利用してデータのレプリケーションを簡単に行える「Hyper-V レプリカ」を実装。WAN回線経由など、ネットワークがつながってさえいれば定期的にレプリケーションを行い、何か障害や災害が発生した際には、そのスナップショットを基にフェイルオーバーを行える。

 沼本氏は、一連の機能によって「Windows Server 2012によって、いまは物理的な制約に縛られていて自由に動かすことのできないリソースの共有化、プール化を実現し、自由に動かせるようにする。そして、弾力的に運用可能なスケーラビリティを備えたデータセンターの進化を加速していく」と述べた。

 「クラウドOSの幕開けが、Windows Server 2012だ」(同氏)。

(@IT 高橋睦美)

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