[Analysis]

“PCマイナス成長=PC普及”ではない

2002/02/08

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 昨年より、調査会社などによるパソコン(PC)市場のマイナス成長の発表が相次いだが、今週新たに同内容の発表があった。電子情報技術協会(JEITA)は2001年および2001年度第3四半期の国内PC出荷の実績を発表し、2001年のPC出荷は台数、金額ともに前年割れとした。

 JEITAの発表によると、2001年(暦年)の国内PC出荷台数は前年比2.3%減の1128万5000台、金額は10.4%減の1兆8854億円となった。マイナス成長は3年ぶりという。同協会は、2002年に関しても市場は縮小し、出荷台数5%減を予想している。

 同協会は、頭打ちが懸念されるPC市場の対策を探るためアンケート調査を実施し、シニア層(50才以上)の間で、電子メールやインターネットへの高い関心がある反面、PCに関して設定や操作が分かり難い・不安といった結果を得たという。また、2台目の買い替え潜在需要をいかに喚起するかも業界の課題としている。

 PCがもはやインターネットアクセスへの唯一の手段ではないことを考えると、コンシューマ向けPC市場がかつての急成長を望めないことは当然かもしれない。また、景気の低迷が長引く中、企業のIT投資、個人の消費活動が冷え込んでいるのも事実だろう。だが、現在、コンシューマ、企業向けそれぞれの市場でシェアを伸ばしている、ソニー、デルコンピュータの展開を考えると、マイナス成長を時代や市場動向のせいにするのは短絡的だ。JEITAによれば、PC1台当たりの単価は上昇傾向にあるほか、ノート型の占める割合は伸びているという。無線LANなど新技術をうまく取り込めば、市場にアピールできるだろうし、PC1人1台を実現していない中小企業は多いという調査結果もあり、まだまだ市場はあると言える。

 PC業界は本格的な普及・浸透へ向け、転換期に入った。今回のマイナス成長は、裏を返せば、ニーズのある市場や新たなユーザー層に見合った製品を供給できていないともとれる。PCメーカーはそのことを認識し、市場のニーズに素早く対応することで現状を打破すべきだろう。

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