[Analysis]

みずほのシステム障害が示すもの

2002/04/12

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 統合発足初日から発生してしまった世界最大規模のみずほ銀行のシステム障害は、発覚から2週間目となったいまも、事態の収拾はついていない。

 障害はペイオフ解禁日でもあった4月1日に発生した。ATM(現金自動預け払い機)取引が不能となる、口座振替処理の遅延および二重引き落としといった問題が発生、これらの復旧および修正処理作業はまだ終わっていない。

 今回の一連の事件は社会に大きな衝撃を与えたが、IT業界にもいくつかの教訓をもたらした。システム化の歴史が古く、情報技術に熟知しているはずの銀行ですら、異なるシステムを連携させる作業は予定通りにこなせなかったという点でのシステム統合の難しさ、そして負荷を予測できなかったという点でのテスト作業の重要性、さらには心理面での課題克服などが挙げられよう。

 みずほ銀行は障害発生の原因について、基幹システムをつなぐリレーコンピュータの不具合だと公表している。現在、同行のシステムは旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行の3つのシステムをリレーコンピュータにより接続し、為替、預金などの取引は旧一勧のシステムと直結させている。つまり、他の2行の処理は、旧一勧のシステムを経由して実行させることになる。同行は当初、このリレーコンピュータにバグがあったと釈明したが、その後、振替システムやインターネットバンキングのシステムの不具合が指摘され、焦点はあいまいなままだ。

 どうしてこのような複雑なシステム形態をとったのか。その原因は、技術ではなく人間の心理にあるようだ。3行のシステムはそれぞれ、旧一勧が富士通、旧富士銀が日本IBM、旧興銀が日立製作所のものだった。統合決定当初は、旧一勧のシステムに1本化するはずだったが、各行およびベンダの縄張り争いなどから、このような複雑なシステム形態をとることで妥協し、2000年末、急きょ作業を変更したという。ここで得られる教訓として、そもそも、システムとは何のためにあるのか、だれのためにあるのか、という基本的な姿勢が欠如していたという点がある。

 もう1つの教訓が、自前主義には限界があるという点。同行は、今回の統合作業に関し、構築の段階から外部の専門家にほとんどたよらず、行内SEが中心となり自力で設計・運用していたことを明らかにしている。外部からの中立的な情報が得られず偏った判断に陥りやすいという、自前主義の欠点が露呈した形となった。

 このように、今回の事件の背景を探っていくと、トップのシステムに対する認識の甘さ、CIO不在、トップダウンが苦手、外部リソースの効果活用ができない、といった多くの日本のITシステム部門が抱える問題が根底にあるような気がしてならない。

 企業や組織の合併・吸収によるシステムの統合は、金融業にとどまらない。今後、建設業界をはじめあらゆる業界、政府や自治体レベルでも進む。われわれは今回のみずほ銀行の失敗を対岸の火事と見るのではなく、情報システムが担う責任の大きさを認識する教訓として検証する必要がある。

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