[Analysis]

あなたの会社の運用管理者はお元気ですか?

2007/03/12

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 企業のIT運用に有形、無形のひずみが生じていることは多くの人が認める。それにもかかわらず、日本ではなかなか対策が進まない状況がある。対策が進まない理由の1つは、関係者が「三すくみ」状態になっているからだ。

 運用管理は、問題が起これば責められるが、何も起こらなくてもほめられはしないという仕事。しかも残業や緊急時の呼び出しなどがあり、決して士気の上がりやすい職場とはいえない。しかも、システムの開発者が知らず知らずのうちに運用までまかされてしまったり、システムのことをよく知っているという理由でトラブルが発生するたびに呼び出しを食らったりするケースもある。専任の運用管理者だけでなく、その周辺のさまざまな人々が「運用管理」に振り回されている。

 こうした業務について、ITサービスを受けるユーザー部門側としてはどう評価すればいいのか分からないというのが実状だろう。せいぜい運用コストを下げる工夫をしろということしか言えない現実がある。

 運用側の責任者にしても、自分の部下の仕事を正当に評価してもらいたくとも、そのための材料を提出したつもりが逆手に取られ、逆にコスト削減を要求されるのがいやで、詳しい議論を避けたがる傾向がある。

 さらに現場の運用管理者は上に述べた業務の性格も相まって、自分の持つ知見やノウハウをほかのスタッフと共有したり、役割分担を積極的に進めたりといった発想を持ちにくい。

 しかしその間にも、運用すべきサーバやアプリケーションの数は増加している。そのうえ障害からの復旧はますます短時間で行うことが求められるようになってきた。このままでは運用管理に関わる人たちがますます疲弊し、ITサービスレベルが全体的に低下していくことも十分予想できる。

 最近過熱化しているIT統制に関する話題は、セキュリティやログ管理に傾きがちだが、そもそもITが安定した業務基盤として機能することが大前提であり、運用管理の合理化は企業が最優先課題の1つとして取り組むべき問題なのではないだろうか。

(@IT 三木泉)

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