Analysis
Ungoogle――自主的Google八分の勧め
2007/09/25
グーグルが提供する各サービスの便利さに毎日、うなっている。Web検索はもちろん、オフィスツールの「Googleドキュメント」やGmail、カレンダー、ノートブック、写真共有などを愛用している。大げさだが、これらのサービスがなければ私の仕事は少しも前に進まないかもしれない。
グーグルの各サービスを便利にしているのは検索機能だ。検索機能が使えるからこれらのサービスを使っているといってもよい。各サービスがSaaS型でオンライン経由で提供されていることはそれほど重要でないのかもしれない。ただ、オンラインにすることでWebとシームレスに検索できるようになったことはとても重要だ。
だが、各サービスの便利さに酔いしれているうちに、ちょっとした不気味さも感じるようになってきた。検索したキーワードをはじめ、各サービスで作成したさまざまな情報はグーグルのデータセンターに格納されている。それらはいわば私を構成するデジタルデータのほとんどといっていいだろう。区役所の住民課に私に関する公的な情報が収められているのと似通っている。区役所などの公的な機関以外で、私に関する膨大な情報を持っているのはグーグル以外にはないだろう。
自主的なGoogle八分
Ungoogleという言葉がある。定義は定まっていないが、自分自身に関する情報をグーグルの検索にヒットさせないTipsといっていいだろう。いわば自主的なGoogle八分である。これまでにもグーグルの検索結果から特定の情報を削除する方法はさまざまに語られてきたし、グーグル自身もそのためのツールを用意している。Wikiベースのマニュアル共有サイト「wikiHow」には「How to Ungoogle Yourself」という記事があり、自分についての情報をグーグルの検索から除外するためのTipsを紹介している。自分の名前での検索は多くの人が行うが、過去の行為(悪行とは限らない)が検索結果に出てしまい、複雑な感情を覚えることがある。
How to Ungoogle Yourselfで紹介されているTipsは、特に裏技というわけではないし、この通りに行っても情報を削除できないかもしれない。この記事に対するコメントには「うーん、かんぐりすぎ」というつぶやきもあった。
要はリスクとメリットのバランスをどう考えるのかということなのだ。どのようなサービスでもリスクはある。グーグルのサービスでも情報漏えいや情報が悪用されるリスクはある。しかし、一方で便利さや効率性というメリットがある。どの程度のメリットを得るために、どのくらいのリスクを受容できるのか。その判断が大切になる。そしてこの考えは個人だけでなく、SaaSアプリケーションの利用を検討する企業にも当てはまるのではないだろうか。
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