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[Analysis]

グリーンIT、法律とエコのはざまで

2009/03/30

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 ここ1年で、“グリーンIT”という言葉が随分と普及してきたと感じる。サーバベンダやアプライアンスベンダがこぞって低消費電力をうたった製品をリリースしており、ネットワーク機器でさえ、消費電力削減をウリにしているほどだ。ハードウェアだけでなく、仮想化技術などのソフトウェアやサービスによる省電力・省スペース化もグリーンITに貢献している。

 グリーンITの目的は、「消費電力を削減し、CO2の排出量を低減することで環境に貢献すること」だが、そのような建前だけではうまくいかないこともあるようだ。

 サーバやネットワーク機器は、通常データセンターに格納されている。このデータセンターで消費される電力の内訳は、一般的な例では、約半分が空調設備で、残り半分がサーバやネットワーク機器で消費されているという。つまり、サーバベンダやネットワークベンダが機器の消費電力を減らすと、データセンターで利用される電力の約半分に効果が出てくる。そして、この部分は最近盛んに強調されているし、話題に上ることが多い。一方で、もう半分を占めているデータセンターの空調設備についてはどうだろうか。

 この部分は、空調設備に依存するため基本的にデータセンター側で施策しなければならない。そして、NTT系や日立製作所、NECなどのメーカー系のデータセンターでは、この熱問題に最初から配慮した「グリーンデータセンター」の設立を、2008年に相次いで発表した。これらのデータセンターでは、データセンター全体で空気の流れなどを考慮した設計を行い、空調の効率化を図っているという。通常サーバやネットワーク機器は前面から冷気を取り入れてCPUなどを冷やした後、暖気をファンで後ろに排出している。従って、理想的には空調の冷気をサーバの前面に的確に当て、背面の暖気はすべて屋外などに排出できれば、サーバルーム全体を空調で冷やす必要がなくなる。

 このように冷気と暖気を別々に隔離することで空調の効率化を図る手法を、コールドアイルチャンバー方式という。この方式では、冷気は冷気、暖気は暖気と完全に隔離できればできるほど、空調の効率がよくなる。つまり、ラックの前面部分は冷気部分として完全に密閉状態にして、暖気が入ってこないようにすれば、空調で冷やす空気の量が少なくてすむ。

 しかし、現実には完全に密閉するのは難しい。ラック部分にはサーバなどのメンテナンスをするために人が出入りするので、扉が必要になる。

 それ以上に密閉率を上げる際に問題になることが多いのが、意外にも日本の消防法だという。現在の消防法では、空間を密閉すればするほど、その密閉部分に求められる消火設備のレベルが上がるのが通例だ。従って、この密閉空間の数に比例して消火設備の量も増える。そのため、ラック数に応じて消火設備を用意しなければならず、コスト的に難しいというのだ。

 あるデータセンターでは、消防署との協議によって予想以上に消火設備のコスト見積もりが高くなってしまったため、いくつか設備面で妥協しなければならなかったという。ただし、このあたりの判断基準は非常にあいまいで、チェックする消防の担当者によっても見解が異なるうえに、こういった消防との交渉ノウハウは基本的に建設業者が持っているため、すべてのデータセンターで消防法が障害になるとはいえないという。そもそも、消防法も建物の安全のためにあるので、消防側の主張も当然といえる。

 ただし、データセンターはとても特殊な建物であり、登場してからまだ日が浅いことや各データセンター事業者の横の連携がうまくとれていないこともあって、こういった点の規格があやふやな点が多いのも事実だ。このような事情から、最近ついにデータセンター事業者を取りまとめる団体が総務省と経済産業省の下に2つ組織された。やはり、エコのためなので、これらの団体が業界ルールを策定し、うまくエコを達成しつつ、消防面でのリスクを低減できる規格作りができることを期待したい。

(@IT 大津心)

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