[コラム:Spencer F. Katt]
アンドリーセンのいないMosaic記念イベント
2003/4/15
Mosaicの開発10周年を記念し、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)でシンポジウムが開催されると聞き、吾輩はすぐさま重工業と酪農の地、”シリコンプレーリー”へ旅立つ準備に取りかかった。
で、シンポジウムの資料をめくっていると、Mosaicの記念式典に欠かせないはずの人物が見当たらない。そう、講演者リストにマーク・アンドリーセンの名前がなかったのだ。イリノイ大学はいまだに、Mosaicを開発したアンドリーセンやいわゆる”6人のギャングたち”がジム・クラークと手を組み、このWebブラウザをNetscapeとして発売したことを快く思っていないのかな?
興味をそそられた吾輩は、さっそくイリノイ大学に問い合わせた。同校のスポークスウーマンの回答は、「こちらでは招待したのですが、残念ながら彼に断られてしまったんです」だった。「当時、大学に在籍していた人は、現在ほとんどいません。彼を無視してシンポジウムを開催することなど考えられません」
一方、アンドリーセンのスポークスマンも、彼が招待されたことを確認した。マークは招待状を受け取ったものの、オプスウェア社のトップとして多忙を極めているため、スケジュールが調整できなかったのだという。
吾輩は旅行用のバッグに荷物を詰め込みながら、あらためて講演者リストを眺めた。まぁ、アンドリーセンの欠席は残念だけど、ヴィントン・サーフはイリノイ州でカウ・チッピング(牛をひっくり返す遊び)を楽しんでくれそうだ。
ところでマイクロソフトは、基本ソフトにJavaとの互換性を提供するように命じたフレデリック・モッツ判事の判決を不服として上訴したけど、同判事の妻であるダイアナ・グリボン・モッツ判事はその訴えを拒否する考えだという。なんだかますます面白くなってきたねぇ。
バージニア州リッチモンド上訴裁判所のミセス・モッツは、夫の命令に対するマイクロソフトの不服申し立てを規定通りに却下する。この思慮深い夫婦は、どちらも1960年代にバージニア大学のロースクールを卒業し、それぞれ米司法長官のオフィスで働いた経験を持つ。面白いのは、夫がレーガンによる共和党指名だったのに対し、妻はクリントンによる民主党指名だったこと。まるでスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンの古い映画の中に、ゲイツとマクネリが入り込んだような話だ(注1)。
それはさておき、マイクロソフトのSQL Serverにいくつかのコンポーネントを提供したタイムラインは、今後、特許とライセンス料だけで食っていくようになるかもしれない。先週、同社は「特許使用料が現時点で1200万ドルを超え、将来さらに増える可能性がある」ことを明らかにした。裁判で収益を上げることができるなら、わざわざ新製品を開発することもないだろうね……。
Googleの検索ボックスに電話番号を打ち込むと、その番号の所有者の名前と住所と地図リンクが出てくることを最近発見し、吾輩は”衝撃と畏怖(注2)”を覚えた。こりゃもう、411.comのようなサービスがストーカー市場を独占する時代は終わったな。
(@IT編集局注1)言うまでもないことだが、スペンサー・トレイシー(Spencer
Tracy)とキャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)は公私に渡るベスト・カップルである。共演作品は9本。数々のスクリューボール・コメディで世界を抱腹絶倒の渦に巻き込んだ。2人の最後の共演作品は「招かれざる客
(1967年:Guess Who's Coming to Dinner)」。
(@IT編集局注2)言うまでもないことだが、元ネタはあの国がアノ国を、“かの独裁者の専制から救い出そうとして”仕掛けた戦争の作戦名「shock&awe」である。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です
[英文記事]
Mosaic Symposium
Puzzles the Puss
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