[コラム:Spencer F. Katt]
ジェダイの帰還

2004/10/5


 西海岸での取材を終えた吾輩は、ボストン行きの飛行機のシートに身を沈め、ジャック・ダニエルを傾けながら、最近買った「スターウォーズ・トリロジー」のDVDをラップトップで再生していた。ヘッドホンをしていたおかげで、隣席の客の単調なおしゃべりに付き合わされることもなく、この壮大な宇宙英雄伝がいかに物語として帰結したか、しばらく考えることができた。

 「なんだかサイバートラストという社名の由来と似ているな」と吾輩は思った。サイバートラスト(Cybertrust)は、トゥルーセキュアとビートラステッドが合併してできたセキュリティ関連の新会社だ。思い起こせば、ビートラステッドが販売していたPKIソフトは、ボルチモア・テクノロジーズから取得したものだが、ボルチモアはその技術を4年前、GTEから買い取った。そしてGTEでそれを開発したのが……、そう、サイバートラスト(CyberTrust)部門だったのだ。

 そういえば、サンとUNIXの関係にも長い歴史がある。Solarisコードのオープンソース化に動き出したサンに対して、SCOが法的手段に訴えるかもしれないという観測が強まる中、サンはただただ肩をすくめるばかりのようにみえる。同社のソフトウェア担当上級副社長ジョン・ロイアコノは、「われわれはきわめて強固な法的基盤の上に立っている」と吾輩に強調した。サンは、この問題で直接SCOとは議論していないが、ロイアコノはこう語る。

 「はるか遠い昔、SCOやその前身で当時ライセンスの権利を持っていた会社と契約したときから、サンは自分たちが何をしたいのか十分認識していた。したがって、その後、同じことをあらためて協議する必要はなかった。われわれがいま実行しようとしていることは、決してここ数カ月の思い付きではない。何年も前から始めたことであり、実現するために長い年月を要したものなのだ」

 一方、SCOのスポークスマンは、サンを相手取って訴訟を起こす可能性については触れないが、たとえサンがUNIX全般の権利に1億ドル以上支払ったとしても、ソースコードの取り扱いには何らかの制約が課されると明言する。

 さて、ジャック・ダニエルですっかりいい気分になった吾輩は、飛行機が着陸したにもかかわらず、まだ空を飛んでいた。ふらふらと赤ら顔でタクシーに乗り込むと、ジャケットの中から突然不協和音が鳴り響いた。携帯電話の着メロに設定していた「Star Wars」だった。電話をかけてきた相手は、ウォール街の情報として、EMCが情報ライフサイクル管理分野への投資に積極的に動き出す気配を見せていると話した。具体的には、アウターベイテクノロジーズ、Creekpath Systems、クエスト・ソフトウェアなどが買収のターゲットとして浮上しているという。

 酔っ払いを乗せて走るタクシーの運転手は、まるでジェダイ・マスターのヨーダのように見えた。吾輩は目をこすりながら、そういえばマイクロソフトがダークサイドのフォースでセールスチームを鍛え上げる方法を確立したらしい、という話を思い出した。Linux反乱軍との終わりなき戦いに備え、レドモンド帝国では「ドライブ・タイム」と呼ぶトレーニング・プログラムを開発したそうだ。なんでもセールス部門の人々は、営業車で客先へ向かう間、Linuxに関するマイクロソフトのポリシーと、Linuxについて顧客と議論するときの知識を伝授する最新のCDを聞き続けるように要請されているのだとか。ダースベイダーだって、コックピットの中じゃ好きな音楽を聴いていると思うけどね……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Rerun of the Jedi

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