[コラム:Spencer F. Katt]
CTIA:ザッツ・エンターテイメント

2004/11/9


 新しい世界秩序の始まりだ。ボストン・レッドソックスが、ついにワールドシリーズを制したのだ。さすがの吾輩も一時は、たとえ犬と猫が一緒にベッドに入ろうが、灼熱地獄の気温が絶対零度まで下がろうが、もはや勝利の女神が微笑むことはないだろう、とあきらめかけた。それがなんということだ。思いもよらぬ一方的な展開で、世界は新しい夜明けを迎えたのである。そして吾輩も、今回はたった4ゲームで新しい下着に着替えることができた。

 レッドソックスの優勝は、多忙だった週の最後の日に決まった。そのとき吾輩は、「CTIA Wireless IT & Entertainment」の取材でサンフランシスコにいた。

 その会場となったモスコーニセンターでは、CTIAのCEOスティーブ・ラージェントがVoIPの公開実験でシアトル・シーホークスの新しいワイドレシーバー、ジェリー・ライスを呼び出し、来場者の喝采を浴びていた。元オクラホマ州下院議員で、NFL殿堂入りした名レシーバーでもあるラージェントは、シーホークスのチーム史上、唯一、背番号80を付けたプレーヤーだった。そのユニフォームをガラスケースから引っ張り出し、自分に着させろと要求したのが、サンフランシスコ・フォーティナイナーズでもオークランド・レイダースでも背番号80だったライスだ。

 一方、新しい携帯電話ゲームの発表に、テレビや映画で有名なウェイアンズ・ブラザースのキーネン・アイボリーとマーロン、そしてショーンがやって来た。このゲームは「The Dozens」(子供たちの間でポピュラーな罵り合いをゲーム化したもの)をベースとし、プレーヤー同士が相手の母親をいかに面白おかしく侮辱できるかを争う。会場から彼らにゲームのデモをやってくれという要望が出ると、キーネンが「そいつは無理な相談だね。なにしろ僕たちはみんな同じ母親から生まれたから」と応じ、すかさずマーロンが「おいらの母ちゃん、ちょっとデブ」とおどけ、兄弟同士というジレンマを逆手に来場者を笑わせた。

 マーロンはまた、新しい「Treo 650」がBluetoothをサポートしていることに興奮し、愛車のレンジローバーに搭載されたBluetoothシステムに接続できると大はしゃぎだった。

 それはさておき、吾輩は会場で1人のサザンベル(南部美人)とおしゃべりする機会があった。そのとき話題に上ったのは、アーカンソー州ベントンビルのレストラン「バインヤード」が、携帯電話持ち込み禁止エリアを設けたというニュースだった。せっかくのディナーを携帯電話の話し声や着信音で台無しにされたくない、という顧客の要望に応じての措置だという。「どのレストランも、そのうち鳥小屋みたいに仕切られるようになるかもしれませんな」と吾輩は笑った。「いつか禁煙、禁電話、禁酒、禁談笑、禁病気自慢のテーブル席を予約して、素敵なディナーでも楽しみますか?」

 その夜、セブン・ネットワークスのCEOビル・グエンが「ビムボー」というクラブで主催したパーティに顔を出した。そこではCakeというロックバンドが「No Phone」という曲を演奏していた。歌詞の内容は、“鳴り止まない電話のベルに俺の心は壊れそうだ。電話はいらない。今日は1人にしておいてくれ」というようなものだった。バンドのメンバーが“電話はいらない、電話はいらない”と大声で歌っているとき、無線ネットワーク会社のエグゼクティブが愉快そうに携帯電話のカメラで写真を撮りまくっていたのがおかしかった。まさに“プライスレス”な光景だったね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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