[コラム:Spencer F. Katt]
CAが身売りの準備?

2004/11/23


 「たしか1平方フィートあたり4万5000ポンド以上の水圧だったかな」と、吾輩は用を足しながらつぶやいた。COMDEXの喧騒(けんそう)を逃れ、フーバーダムの壮大さに感動したころが懐かしい。eWEEK編集部の男子トイレの便器で細々と渦巻く水流は、ブラックキャニオンのそれとは大違いだ……。

 ラスベガスをこよなく愛する吾輩は、メディア・ライブ・インターナショナルが今年の秋季COMDEXを中止にしてしまったことを、いまだに残念に思っている。もっとも、マッカラン空港の2時間待ちのタクシー行列の苦行がなくなったことだけは感謝すべきかもしれない。と思ったとき、携帯電話の着信音が鳴った。

 電話をかけてきたのは、いつもの情報屋だった。彼の話によると、ノベル副会長のクリス・ストーンが今月はじめ突如退職したのは、CEOのジャック・メスマンと交わした社長昇進の約束を反故(ほご)にされたからだという。ストーンがハーバードのビジネススクールから戻った直後、CEOは彼を夕食に招待し、「君がいない間、僕が副会長の仕事をカバーしたけど、副会長が不在でも会社はうまく回ることに気がついたよ。ありがとう。ノベルは君がいなくても、まったく問題がなかった」と話したとか。そしてメスマンは、副会長職にとどまっても社長昇進の目はない、とストーンに引導を渡したそうだ。キャリアパスの行き止まりに直面したストーンは、メスマンと200万ドルの握手をして会社のドアを出て行ったという。

 電話を切ったあと、吾輩は机の上に広げたオイルサーディンとスナックチーズをむさぼりながら、ラスベガスのビュッフェに並ぶシュリンプカクテルやブリーチーズを思い浮かべ、あまりの落差にむせび泣いた。そんなわびしい食事に耐えられなくなり、午後からとあるベンダミーティングに出向くと、そこで複数の知人から、管理ソフトベンダのマーキュリー・インタラクティブが買収戦略に動き出したという情報を聞いた。

 マーキュリーはモニタリングやデータギャザリングに優れているが、それだけでは多くのIT企業の要求には応えられない、と業界関係者の1人は話す。一方、同社は診断・修復の技術に強い企業を取り込むべきだが、そうした企業買収には最低でも2億ドルはかかるだろう、との声も聞こえた。もっとも、マーキュリーは昨年、ITガバナンス・ソフトウェア・プロバイダのキンタナを買収するにあたって、ポンと2億2500万ドルのキャッシュを支払っているけどね。

 ベンダミーティングをあとにした吾輩は、ニューイングランドの冷たい風に吹かれ、そういえば毎年、いまごろはラスベガスのマンダレイベイでポーカーに明け暮れていたことを思い出し、ギャンブル魂がうずきだした。そんな気持ちの昂ぶりを抑えきれず、ロト宝くじでも買おうと近くのコンビニエンスストアに飛び込むと、吾輩のBlackBerryに友人からメッセージが届いた。なんと、コンピュータ・アソシエイツが身売りの準備をしているという情報が入ったというのだ! 

 往年の企業買収の王者が身売りするというのも皮肉なものだけど、買い手はEMCか、IBMか、いずれにしてもかなりの資金力を持った企業になるだろう、と友人は予測する。いや、このロトが当たれば、吾輩にだってチャンスはある……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Viva, Faux Vegas

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