[コラム:Spencer F. Katt]
ピカード船長もやってきたLotusphere

2004/2/10


 フロリダ州オーランドで開催されたLotusphereで、ロータス信奉者の団体と一緒に祝い酒を飲んでいたとき、イベントに反乱を唱えるスパルタカスのような顧客が今年は1人もいないことに気がついた。そう、だれもが薄っぺらなおべんちゃらしか口にしないのだ。それにしても、オープニング・セッションの目玉で、今回のカンファレンスの主役でもあるIBMの次世代メッセージング、コラボレーション・プラットフォーム「Lotus Workplace」は、会場となったディズニー・ドルフィン・オーディトリアムで散発的な、折り目正しい喝采(かっさい)を浴びるのみだった……。

 ロータスの開発・技術サポート担当副社長であるマイケル・ローディンは、ステージの上からWrokplaceマニアの期待を盛り上げようと必死になっていたが、聴衆の反応は気のないものだった。「で、今度のは、何がウリなんだ?」と、吾輩の横にいたDominoユーザーがつぶやいた。「いままでのと、ちっとも変わらんじゃないか」

 そんな中で、ひときわ大きな歓声が上がったのは、ロータスがNotesやDominoから撤退するのではないかという他社の観測を、ゼネラル・マネージャのアンブジ・ゴヤルが明確に否定したときだ。「そうした憶測に真実は一切含まれていない」と彼は断言した。一方、ロータス・ファンが最も暖かい拍手を送ったのは、「スタートレック」の出演者で、今回ゲスト・スピーカーとして招待されたパトリック・スチュワートだった。しかし、ロータス・ユーザーを本当に喜ばせたいなら、IBMはエンタープライズ号からピカード船長を呼び寄せるより、もっとほかにすることがあったような気もするけどね。

 その後、吾輩はビッグリバー・ブリューイングに立ち寄り、ビール片手に何人かのIT技術者と最新情報を交換した。そこで聞いた話では、ヒューレット・パッカード(HP)が近く、AMDのOpteronチップを搭載したProLiantシステムを発表するらしい。ここでHPとインテルの提携関係にヒビが入れば、苦戦中のItaniumのセールスに影響が及ぶのは必至。ある業界関係者が話してくれたところによると、HPがOpteronへの傾斜を強めているのは、インテルが秘密裏に進めている1つのプロジェクトが原因だという。「Yamhill」と呼ばれるそのプロジェクトは、32ビットのXeonチップに64ビットの拡張機能を追加しようというもの。当然、Opteronの競合チップになるだろう。両社の間に暗雲が漂い始めているのは間違いない。

 暗雲といえば、新しい友人の1人が教えてくれたところによると、マイクロソフトが開発したSPOT(Smart Personal Object Technology)に対応したフォッシルの腕時計型端末は、ちょっとした静電気でブランクアウトしたり、データが飛んでしまうそうだ。時計バンドの中に仕込んだアンテナが原因らしい。ライバルの時計メーカーはアンテナを外周部に組み込んでいるので、ユーザーからの静電気に影響を受けないという。

 ドルフィン・ホテルの部屋に戻ると、すぐに電話があった。旧友の1人からだった。彼は、シーベルの販売担当副社長、リチャード・キアレロが辞職したといって笑い出した。確か15カ月前、キアレロが就任したとき、CEOのトム・シーベルは「彼こそ希望の星だ」と手放しで喜んでいたものだ。旧友によると、シーベルは今回の件について、「マネジメントを簡素化しただけ。これによってCEOと顧客の距離は、さらに短くなった」といい張っているらしい。ものは言いようだな。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Lotusphere and Loathing in Orlando

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