[コラム:Spencer F. Katt]
この世の終わり? マクニーリとバルマーの2ショット

2004/4/20


 「ついに、この世の終わりが来たか」と、吾輩はMP3ヘッドセットから流れるREMの単調な曲のトーンに合わせ、低い声でつぶやいた。スコット・マクニーリとスティーブ・バルマーが手を結んだのだ。まるで地獄の炎を思い起こさせるような光景だ。次は何だろう? 犬と猫が仲良くお昼寝か? 吾輩は恐ろしさに身震いしながら、マイクロソフトのセキュリティ担当副社長、マイク・ナッシュのデモに神経を集中した。ニューヨークで開催された「Microsoft Security Summit」で、彼はXPの新しいセキュリティ機能を紹介していた。

 が、残念なことに、吾輩の集中力が持続する時間はきわめて短い。すぐに興味は、ある友人からのインスタント・メッセージに移った。それによると、マクニーリとバルマーがスクールガールのようにクスクス笑っているころ、サンの入社14年目のベテラン、デベロッパ・プラットフォーム担当副社長のリッチ・グリーンが同社を去ったらしい。サンが悪魔に魂を売り渡したからだろうか? それとも、同社がジョナサン・シュワルツの後任として、グリーンではなく、ジョン・ロイアコノをソフトウェア部門のヘッドに指名したからだろうか? 友人によると、理由はそのいずれでもないそうだ。グリーンはマイクロソフトとの提携に尽力したあと、サンの元同僚でBEAの神童と呼ばれるビル・コールマンが設立したスタートアップ企業に合流するため、数週間前に辞表を提出していたらしい。

 イベント会場を埋めた大勢のセキュリティ業界の専門家やCIOたちから、ナッシュに向けて野次や怒号が飛び始めたので、吾輩はあわててMP3プレーヤーのスイッチを切った。いくつかの機能が正常に動作しなかったようだ。聴衆の中からは、ひどく取り乱した副社長にXPの操作方法を大声で教える声も聞かれた。ナッシュは、正常にリセットされなかったマシンの誤動作に悪態をつきながら、勇敢にも自分の電子メール・アドレスを公開し、人々にマイクロソフトのセキュリティ対策に関する感想を送ってくれるよう求めた。って、そんなことしたら、メールボックスが煙噴いちゃうよ……。

 イベントが終わったあと、何人かの仲間と連れ立ってバーに向かった。そのうちの1人が教えてくれたところによると、オラクルによる小売業界向けソフトウェア・プロバイダの最大手、レテックの買収が最終段階にあるもようだ。テーブルに飲み物が運ばれてくると、別の仲間から、CRMベンダのオニックス・ソフトウェアがビジネス・プロセス管理ベンダのビジュアルを買収したという話を聞かされた。オニックス自身も身売り先を探しているらしく、最有力候補としてERPベンダのローソン・ソフトウェアの名前が浮上しているという。

 吾輩はよく冷えた生ビールを一気に喉(のど)に流し込んだあと、みんなに新しい情報を1つ紹介した。それはデルの、プリンタ市場にチャンスを求める方針に変更がないということだ。マイケル・デル自身、さきごろ新しい印刷技術を視察するため、アジア諸国を旅して回ったらしい。

 吾輩はまた、最近読者から受け取った電子メールの内容を紹介して座を盛り上げた。その読者からの情報によると、ある大手コンピュータ・メーカーがWindows 2000プリインストール・マシンの出荷をひっそりと中止し、CPUプロダクトキーはXP対応のみになったそうだ。まぁ、いまさらそんな製品はだれも買わないと思うけど、マイクロソフトはさきごろWindows 98のサポート継続を明らかにしたし、“Longhorn”もどうやら出荷がかなり遅れそうな気配だ。Win98とW2Kは、なんだかショービズ界の女王シェールのフェアウェル・ツアーみたいになってきた。いつまでたっても終わらない……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Apocalypse Happens

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