[コラム:Spencer F. Katt]
マイクロソフト、ゲイ・パレードのスポンサーに

2005/6/7


 「そうか、この手があったか!」と、吾輩は声を上げた。身体を売るのだ。イーベイではびっくりするほど多くの人々が、自分の身体を広告媒体として“有料”でオファーしているではないか。吾輩もさっそくオークションをセットアップすることにしよう。吾輩の毛むくじゃらの身体に、個人または会社のメッセージを刈り込む権利を、271ドル37セントで売り出すのだ。価格設定の根拠は、来月、吾輩の銀行口座から引き落とされるクレジットカードの請求額である。

 オフィスの小部屋で電動シェーバーを片手に、あれこれ考えていたら、同僚が入ってきた。さっそく刈り込み広告のアイデアを話すと、「面白そうだな。じゃ、ちょっと試しに」と言って、彼はシェーバーを取り上げ、吾輩の体毛を刈り込み始めた。

 その同僚の話によると、最近シカゴで開催された「Linuxソリューション販売会議」では、オーバーストック・ドットコムのCTOシャウン・シュベグマンが、同社のLinuxへの取り組みを説明するPower Pointプレゼンテーションに失敗したらしい。シュベグマンがステージに登場する直前、彼のWindowsPCが突然逝(い)ってしまったからだ。

 何かの祟りかな、と笑っていると、机の上の電話が鳴った。受話器から聞こえてきた声の主は、携帯電話が人体に及ぼす影響について結論が出るのは、それほど遠い未来ではないかもしれない、と話した。先ごろ、ユタ州で開かれた医療カルテ協会にノキアの幹部数人が出席したそうだ。携帯電話と健康に関する問題について、本格的に検討を開始するためだとか。
 
  電話を切ったあと、吾輩は毛深い腕に刻んだ模様を指差し、「これ、なんだと思う?」と同僚に聞いた。「なんか枯れ葉模様みたいだな」と彼が答えると、「知らんのか? アディダスのマークだよ」と言って吾輩は大笑いした。そのとき、携帯電話の着メロに設定していた「ロンドン・コーリング」のメロディが流れた。エクセル・ロンドン・カンファレンスセンターで開催された「WiCon World」を取材した英国在住の情報屋からだった。

 このイベント、最先端の無線通信技術の展示会なのだが、参加者たちが見たものは、まったく奇妙な現実だったという。なんでも、近代的なエクセル・コンベンションセンターのホールは、金属製の壁と天井に覆われていて、無線信号がことごとくブロックされるらしいのだ。プレスルームに詰めかけた記者たちは、無線ネットワークに接続できず、みんなパニックに陥ったという。もっとも幸運なことに、建物内に敷設された有線LANのおかげで、主催者側はなんとか事態を乗り切ったそうだ。

 吾輩が胸元に刈り込んだレッドソックスのロゴをデジカメで撮ってくれ、と頼むと、同僚は「なんだか2匹の死んだヘビみたいだ」と笑った。そのとき、吾輩のBlackBerryが電動シェーバーより激しく振動しはじめた。友人からインスタント・メッセージだった。それによると、銀行や投資会社のサイトのように見せかけ、偽メールで人々をひっかけるフィッシング詐欺について、どうやらいくつかのオンライン自警団が徹底排除に乗り出したらしい。「ついにオタク対ロシアン・マフィアの対決か。映画化の権利があれば買い取りたいものだな」と吾輩は思った。

 気が付くと、濃い体毛に覆われた吾輩の身体は、無残にも地肌が露出したディポットだらけになっていた。「おいおい、これじゃ、歩くビルボード計画は失敗だな」と同僚に指摘され、吾輩は激しく意気消沈した。

 そんなとき、レドモンド・ウォッチャーから面白い電子メールが届いた。マイクロソフトがゲイ差別禁止法案の支持を決定したというのだ。これまでゲイに否定的だった姿勢を改め、シアトルで予定されている大規模なゲイ・パレード・フェスティバルのスポンサーになることも決めたらしい。マイクロソフトが本気で決めたことなら、中途半端なことはしないだろう。きっとパレードじゃ、レインボー・フラッグを腰に巻きつけたスティーブ・バルマーが、大きな山車の上で得意のデベロッパ・ダンスを披露するに違いない。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Katt-vertisements

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