[コラム:Spencer F. Katt]
ディープスロートはMVSの生みの親?

2005/9/6


 「グリーンモンスターはどこへ行っちゃったんだ?」と吾輩はつぶやいた。ボストン・フェンウェイ・パークの神聖な緑色の壁が、ローリング・ストーンズ公演の舞台装置によって完全に覆い隠されていたからだ。それにしてもコンサートはパーフェクトだった。唯一残念だったのは、ステージの骨組みによじ登ったホンキー・トンク・ウーマンが客席に落下したときに、「Stupid Girl」の演奏が始まらなかったことくらいなものだ。

 数日後、吾輩はボストンのハインズ・コンベンションセンターで開催されたSHAREユーザー・イベントに参加して、ひどくがっかりした。プログラムガイドに、「パスワード同期ソリューションにRACFとz/OS LDAPを利用する」とかなんとか、本当に眠気を誘うようなセッションばかりが並んでいたからだ。

 実際、SHAREの歴史を検証する「The Button Man」という展示を発見するまで、吾輩はこのイベントに参加することに複雑な感情を抱き始めていた。ところが、である。この展示、実に興味深いものだったのだ。イベント参加者が長年にわたって胸に付けてきたバッジ250個を検証し、SHAREの歴史を振り返ろうというのだ。

 SHAREの生き字引で、バッジコレクターとしても知られるバリー・メリルは、1959年にIBM 610でコンピュータの利用を始め、1970年代からバッジのコレクションをスタートしたそうだ。白地にびっしりバッジを付けたメリルのジャケットは、展示ホールの外のガラスケースの中に飾られていた。その1つに、「リンダ・ラブレースもVS2は飲み込めない」と書いてあるバッジがあった(リンダ・ラブレースは映画「ディープスロート」の主演女優)。実はこのバッジ、IBMにVS2の機能強化を促し、MVSメインフレームOSが生まれるきっかけになったと言われているのだ。そのほか、「30歳以下の言語を信じるな」とか、「汚いオヤジたちはリリース2を必要としている」などというバッジもあった。

 それはさておき、吾輩は闇夜の治安を守るシェリフのように、FBIのエージェント、ダン・ラーキンのサイバー犯罪に関するセッションに潜入した。その中で彼は、FBIが数週間以内に主要なスパマーの捜査に乗り出すことを明らかにした。また、司法長官かFBI長官のどちらかを担ぎ、個人情報の盗難に注意を喚起する“大規模な”イベントを計画していることも示唆した。

 表通りの向こうにある酒場には馬で乗りつけたかったが、そういうわけにもいかなかった。とりあえずカウンターに腰を落ち着けると、すぐに携帯電話が鳴った。かけてきた友人が言う。オラクルのボス、ラリー・エリソンの人生は、まさに順風満帆だね。もっとも、実際に外洋に出ると話は別だけど……。

 確かに、オラクルによるピープルソフト買収は成功を収めた。エリソンはまた、9億900万ドルを投じてアイフレックス・ソリューションズの支配権を手に入れつつある。さらに彼の投資会社が出資したストレージ関連の新会社ピラー・データ・システムズは、さきごろベル・マイクロプロダクツと販売代理店契約を結ぶことに成功した。

 ところが悲しいかな、この大富豪は気まぐれだ。彼のオラクルBMWレーシング・アメリカズカップ・チームは、いま大混乱に陥っているらしい。戦術担当のジョン・コステッキが突如辞任したのだ。また、チーム・エグゼクティブのクリス・ディクソンがスキッパーに復帰し、ラリーやクルーを率いることになった。ヘルムスマンのギャビン・ブラディは先日、コペンハーゲンでプレス関係者にこう述べた。「海面から離れたところでさまざまなことが起きている」。まぁ、ラリーはいまも業界のキャプテンであることに変わりはないけど。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Stray Cat Blues

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