[コラム:Spencer F. Katt]
“ここだけの話”に課金する特許

2005/9/21


 マイクロソフト・ビジネス・サミットの取材でレドモンドへ向かう途中、シットコム(シチュエーション・コメディ)の草分けともいえる人気テレビ番組「ギリガン君SOS」で主役ギリガンを好演したボブ・デンバーの死を知った。吾輩は心の友を、また1人失った気持ちになった。

 ワシントンD.C.在住の旧友によると、このコメディで遭難した不運な客船「SSミノウ号」(Minnow:雑魚の意)は、当時、ジョン・F・ケネディからFCC(米連邦通信委員会)委員長に任命されたニュートン・ミノウ(Newton Minow)を茶化して付けられた名前だという。同番組プロデューサー、シャーウッド・シュワルツは、1961年5月9日の全米放送事業者協会の総会で、ミノウがテレビを「不毛な荒地」と評したことに、きっと頭に来たんだろうな。

 それはさておき、吾輩は、地元マサチューセッツ州が公文書の“オープン・フォーマット”化を打ち出し、2007年までにマイクロソフト製品を庁舎から締め出す方針を決めたことで、レドモンドの人々から冷たい仕打ちを受けるのではないかと内心ビクビクしていた。

 ところが、そんな心配とはうらはらに、ホテルに着いた吾輩を待っていたのは、Peachtreeベンダのセージから届けられた白いボックスだった。ふたを開けると、同社特製のマウスパッド、エルトン・ジョンのCD「ピーチツリー・ロード」、ピーチバズ・キャンディ、ピーチジャム、そしてジンジャー・ピーチ長寿ティーバッグなどが出てきた。セージはまた、“マイクロソフトへの10の質問”というリストも用意していた。その中の4番目のものが、まさに吾輩が知りたいと思っていた内容だったのだ。それは、SMBのバージョン3.0はいつ出荷されるのか? という質問だ。期待に胸を膨らませて答えを見ると、「通常、マイクロソフトが製品を完成させたときです」と書いてあった。

 そういえば、いくつもの発表を経て“プロジェクト・グリーン”がMicrosoft Dynamicsと呼ばれるようになり、まったく発表されないスティーブ・バルマーの驚くべき実態が厚いベールに包まれつつある中、マイクロソフトは一連のCRM製品の詳細について、「適切な時期に提供する」との方針を明らかにした。なるほど。

 吾輩はとりあえずホテルを出て、いつものようにシアトルのお気に入りのバーを巡るツアーに出発した。最初に向かった「ガレージ」という名前のプールバーで、シアトル在住の友人が、マイクロソフトの新しいエルゴノミック・キーボードのことを教えてくれた。どうやらその新製品、“ガルウィング”タイプのキーボードらしい。まもなく市販されるという。

 友人はまた、グーグルのセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジがVanity Fair誌の年間パワー・ブローカー・リストでトップになったことを話題にした。吾輩が「邪悪なことをしそうにないところがよかったのかな」と笑うと、それを受けて友人が話し始めた。「邪悪といえば、最近ますます増え続けるスパムだけど、米国特許申請20050192819号が、昨年ダボス会議でビル・ゲイツの打ち出した課金によるスパム防止策に似ていると評判だ」

 その特許は、「可変料金制と条件付き償還によって、一方的に送付される迷惑な電子メールを削減するための方法とシステム」に関するものだ。条件付き償還というのは、そんなに難しいコンセプトではなく、チケットが添付されていない電子メールの発信者、または受信者に、ISPが課金できるという意味だ。

 しかし、“ここだけの話”みたいなタイトルのメールをオープンするたびに5セント請求されたら、吾輩は間違いなく破産するね。なにしろ、その手のメールは全部ファンからのものだと思っているから……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
On the Waterfront

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