[コラム:Spencer F. Katt]
Blookで作家デビュー

2005/10/4


 「ハロー、キティ!」と、吾輩は思わず声を上げた。というのも、ICANNがついにネコ科のトップレベル・ドメインを承認したからだ。ただし、残念なことに承認されたTLDは、カタロニア語を話すの人々のためのドメインで、スペルは.katではなく、.catであった。なに、こうなったらカトマンズの人々と共闘して、必ず.katドメインを実現させるぞ、と強く心に誓った吾輩であった。

 それはさておき、携帯電話から流れてきたザ・プッシーキャット・ドールズの「Don't Cha」のメロディが、吾輩の妄想をかき消した。電話をかけてきた友人の話によると、いつも陽気なサン・マイクロシステムズの社長ジョナサン・シュワルツが、社内の“オープンソース”化について心を痛めているらしい。シュワルツがサンの全従業員に向けて緊急送信したメールには、「会社や同僚のために、サンの機密情報をシェアすることは止めよう」と書いてあったそうだ。

 さらに社長は、「プレス関係者に写真やデータをリークすると、実際の製品発表時やリリース時に新鮮さがなくなって、結局、メディアによる報道が少なくなる」と指摘し、サンを世界に向かってオープンにしていくことは自分自身も強く賛同するが、「会社の機密情報を不正に共有することは犯罪であり、会社のポリシーに反する」と警告したそうだ。シュワルツは最近、ジョブズ風のやり方を苦々しく思っているみたいだしね。

 友人はまた、Linux Mark Institute(LML)が先週、「“オーストラリアにおけるLinuxの商標登録は失敗した”との報道は、事実と異なる」という声明文を出したと教えてくれた。LMIによると、“Linux”という言葉に商標として保護されるべき際立った特殊性はないとしたオーストラリア当局の公式見解は、「当面の判断であり、まだ議論は終わっていない」そうだ。LMIでは、「最終的な判断は好ましい結果になるだろう」と自信を示しているという。

 電話を切ったあと、吾輩はハイネケンの栓を抜き、そろそろ本腰を入れて最近流行りの“blook”でも書こうかと考えた。blookというのは、書籍の概念を取り込んだブログのことだ。例えばHackoff.comは、ドットコム・バブルの時代設定で書かれた殺人ミステリーをblookで連載しており、来年にはハードカバーでリリースする計画だ。吾輩は「知っていることを書け」という古いことわざに邪魔されて、これまでなかなか構想がまとまらず、いまだにグズグズしているのだ。

 そんな中、グーグルのプリント・ライブラリ・プロジェクトが「大規模な著作権侵害」にあたるとして、米作家協会は先週、同社を相手取って集団訴訟を起こした。グーグルの製品管理担当副社長であるスーザン・ボイチツキは、同社のプロジェクトについて、「全世界の人々に数百万冊の書籍を提供することが目的だが、著作権のある書籍については、著作者の許可がない限りユーザーに1ページも見せることはない」と主張している。とりあえず作家になるのは、もう少し事態の進展を見てからにするかな……。

 などと考えていると、部屋の電話が鳴った。受話器の向こうの旧友は、デルのiPod対抗製品「DJ Ditty」をどう思うか、と唐突に質問してきた。吾輩はしばらく考えてから、こう答えた。「名前がちょっとねぇ。だいたい製品名というのは、人々にスカトロジカルなリズムを連想させちゃいかんだろう」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Don't Blook Now

Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.

Spencer F. Katt バックナンバー

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)