[コラム:Spencer F. Katt]
バンドエイドを目指すSAP

2006/2/21


 「アイ・アム・スタック・オン・SAP……」。マサチューセッツ州ケンブリッジの「ブコウスキーズ・バー」で、周囲の客のおびえた視線を感じながら、吾輩は携帯電話に向かって某CMソングの替え歌を即興で歌った。SAPの地域販売会社COO、ロドニー・セリグマンが、救急ばんそうこうのバンドエイド、あるいはティッシュペーパーのクリネックスのように、SAPブランドをERPの同義語にすると宣言した、と電話の相手が教えてくれたからだ。

 「人々がERPのことを話題にするとき、自然に“SAP”と口から出るようにしたい」と、セリグマンは先週、サン・アントニオにISVやリセラーを集めて開催した同社のキックオフ・ミーティングで挨拶し、「今年中にバンドエイドやクリネックスのようになる」と宣言したそうだ。そのために、いまや空港のいたるところで目にする同社の広告キャンペーン「The best-run businesses run SAP」が、まもなくテレビを含む多様なメディアで大々的に展開する計画だという。

 そういえば、ジミー・カーター元大統領の弟、ビリーの名前も、1970年代にビールと同義語になる可能性があった。ビリー・ビールは短命に終わったけど……。

 電話を切ったあと、大酒飲みの詩人、チャールズ・ブコウスキーにちなんで名づけられたバーで、ケンブリッジ在住の友人と会話を再開した。その友人によると、MITはバレンタインデーにあわせて今年も1日チャームスクールを開いたそうだ。このイベントはMITの持つ複雑性と人間性の両面を象徴するものだという。どうやら年がら年中、殺人レーザーやタイムマシンばかりを研究しているわけでもないらしい。ハーバード・クリムソン紙の記事によると、イベントではテーブルマナーや社交ダンス、衛生学の講義に加え、性に関する指導もあったもようだ。MITの教官、ローラ・スチュアートはその日、“セックスレディ”という名札を付け、異性の採点方法について講義したそうだ。「最初に相手の臭いをかぐことを教えるのが基本だな」と、吾輩は鼻息を荒くした。

 くだらない冗談を黙殺して、友人は別の話題に移った。SCOが明らかにしたところによると、IBMが現在両社で係争中の問題について反論するため、34万ページもの資料を裁判所に提出したそうだ。この調子じゃ、決着はいつになるか見当もつかないね。まるでSCOは裁判の合間にUNIXビジネスにいそしんでいる感じだな。グロクロウ・ドットコムの記事によると、SCOはパームビーチに住むビッグブルーの元CEO、ルイス・ガーストナーからも宣誓証言を得て、フルスロットルで加速し続けているようだ。

 それはそうと、友人の話ではグーグルがまた1人、検索の専門家を引き込んだもようだ。アマゾンの子会社、A9を指揮してきたウディー・マンバーがどうやらグーグルに移籍したらしい。A9の新しいCEOには、インテルや国防高等研究計画庁(DARPA)で活躍したデビッド・テネンハウスが就任するという。いまごろジェフ・ベゾスはスティーブ・バルマーのようにイスを蹴飛ばし、エリック・シュミットの名前を恨みがましく叫び続けているに違いない。ちょっと想像つかないけど。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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