[コラム:Spencer F. Katt]
スペインにやって来た平和の使者

2006/2/28


 「クラトゥ、バラダ、ニクトってところかな」と吾輩は笑った。それは古典的SF映画「地球の静止する日」に登場する宇宙人が発した言葉だ。バルセロナで開かれた無線関連の3GSM国際会議の会場から電話をかけてきた友人によると、マイクロソフトのCEO、スティーブ・バルマーが、「われわれは友として、ここにやって来た」という挨拶をしたそうだ。まるで宇宙の彼方から飛来した訪問者のように話す彼の姿を想像して、2人でしばらく笑いこけた。バルマーはまた、「アイ・ラブ・モバイル・インダストリー。アイ・ラブ・モバイル・オペレーターズ」と、壇上で愛想を振りまいていたとか。おそらくバレンタインデーに引っ掛けて笑いを取ろうとしたのだろう。

 それはさておき、バルセロナではブロークバック・マウンテン以上に、パートナーを組む動きが活発だったようだ。友人の報告によると、ノキアとソニー・エリクソンがマイクロソフトの無線ActiveSync認証ツールのライセンシーとして、共同でプレゼンテーションを行ったという。またノキアと三洋電機がCDMA携帯電話事業でサンディエゴに新会社を設立する、と発表したこともビッグニュースだ。詳細は明らかにされていないが、新会社のロケーションから推測するに、クアルコムもプロジェクトに何らかの形でかかわるような気がするね。というのも、新会社と同じサンディエゴに本社を置くクアルコムは、政府および商用のCDMA暫定標準で業界のトップランナーであるからだ。

 電話を切ったあと、吾輩はサンノゼで開催されていたRSAセキュリティ・コンファレンスの取材に戻った。それにしてもスコット・マクニーリのショーは、いつも取材意欲をかき立ててくれる。今回、彼は基調講演で最も恐ろしいセキュリティの悪夢を、いくつか面白おかしくリストアップした。プレゼンテーションの途中、マクニーリ自身は悪名高いWindowsの「死のブルースクリーン」を実際には見たことがないと告白し、ずっとSolarisとサンのデスクトップを使っているからだ、と会場を笑わせた。はたして彼のスライドショーが始まって2分ほど経過したころ、画面はいきなりブランクになった。マクニーリは、引きつった笑顔で冗談を飛ばした。「大丈夫だよ、ビル。すぐに直るから」

 その後、マイクロソフトのセキュリティ・チームがドンチャン騒ぎをしている「スモーク」というクラブに忍び込んだ吾輩は、Linux業界の知人とそこで情報交換した。彼の話によると、フリー・ソフトウェア・ファンデーションが「GPL Version 3」に対するリーナス・トーバルズの批判に対して、「読み違えただけだろう」と反論しているそうだ。ヘルシンキでも読み書きは教育の基本だ。トーバルズの読解力に問題があるとは思えないけどね。

 ところで、いまセキュリティ専門家たちの間では、イスラエル政府のCERT責任者でSecuriTeamのブロガー、ガディ・エブロンのコメントスパムに関する警告が話題になっているそうだ。彼のブログによると、最近ブログのコメント欄を利用したスパムが激増しているという。注意しなければならないのは、スパムだけでなく、ボットを利用してコンピュータへ送り込まれていることだ。エブロンは警告とともに、システムに害を及ぼす不快なサイトやIPアドレスをブログで公開している。

 昔はコメントスパムもカットアンドペーストで地道にやってたもんだけどね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
We Come in Peace

Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.

Spencer F. Katt バックナンバー

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)