[コラム:Spencer F. Katt]
ソフトウェアセールスマンの死

2006/3/14


 ナチュラルナノという会社が携帯電話や無線通信の電波をブロックするナノテク・ペンキを売り出したと聞いて、ビージーズ・モードの吾輩はバリー・ギブばりにファルセットで歌った。“I'm just trying to get a message to you…”

 なんでも製品のスプレー缶の中には、ナノテクに取り組むアムビットが開発した硬化ハロイサイト・ナノチューブという新技術が詰め込まれていて、それが電波を遮断するそうだ。ナチュラルナノでは、違法電波だけでなく、携帯電話やWiFiもインテリジェントにコントロールできると宣伝している。しかし、子供が救急センターに搬送されたことをコンサート会場にいる親に伝えたいベビーシッターは、きっと困るだろうな。

 ドキュメンタリー映画「マーチ・オブ・ザ・ペンギン」の特別バージョンがないかと、ネットフリックスのオンラインDVDレンタル・サイトをチェックしていると、携帯電話が鳴った。かけてきた友人は、サンのスコット・マクニーリがHPのCEO、マーク・ハードに送った公開レターについてどう思うかと聞いてきた。マクニーリがHP-UXとSolaris 10の統合化をハードに提案したメールだ。「最近、環境問題にも敏感なマクニーリは、きっとできるだけ多くの人に好かれようと努力しているんだよ」と吾輩は答えた。友人によると、その一方でサンの上級副社長であるラリー・シンガーは、HPのItaniumイベントを「豚に口紅を塗るようなものだ」とこき下ろしたらしい。まるで昔のマクニーリが憑依したようだな。

 電話を切ったあと、吾輩はボストンのダウンタウンに向かった。ビールを飲みながら、メディア業界に詳しい旧友からエンターテイメント系の最新情報を仕入れるためだ。そいつの話では、ダウンロード市場を支配するiTunesに、もうすぐMashboxxというファイル共有サービスが戦いを挑むらしい。どうやらナップスターのショーン・ファニングが開発したSnocapと呼ぶPtoPネットワークフィルタが売りだという。それは違法な音楽ファイルを除去するフィルタらしく、Mashboxxでは有料のPtoPファイル共有というコンセプトを確立して、大手のミュージックレーベルを呼び込む構えだという。

 ファイルといえば、アーンスト・アンド・ヤングがいまどき珍しい方法でデータファイルを盗まれたらしい。珍しいというのは、実際に泥棒が重要データの入ったパソコンを手に抱えて持ち去ったのだという。マイアミ・ヘラルド紙によると、同社の4人の会計監査員が昼食をとるため、会議室にラップトップを置いたまま外出してしまったらしい。監視ビデオには、2人組の泥棒がその直後に会議室へ忍び込み、バックパックにラップトップを放り込んで逃走した姿がはっきり映っていたという。

 オフィスに戻ると、ペンギン系の友人から電話があった。Eclipse Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、マイク・ミリンコビッチがサンフランシスコで開催された「オープンソース・ビジネスカンファレンス」で、なにやら面白いことを言ったらしい。あるパネルディスカッションで、ソフトウェアのライセンス方式とセールスについて議論が及んだとき、ミリンコビッチは、いずれ人々は「ソフトウェアセールスマンの死」を目撃するだろうと予測したそうだ。まぁ、確かに、アーサー・ミラーはウィリー・ローマンにこう言わせている。「ハイウェイを走り続け、列車に乗り続け、アポイントメントをこなし続けて、いつしか年月は流れ、結局、お前は生きているより死んだほうが値打ちがあるってことになっちまうんだ」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Defy Wi-Fi With Spray-On Shield; Litterboxlynx

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