[コラム:Spencer F. Katt]
ベトナムがアウトソーシングのフロンティアになる?

2006/4/25


 失業中のプログラマはなぜ溺死したか? 魅力的な就職先はぜんぶ海外にあると聞いたから……。商用でボストンの立ち寄った旧友のビジネスアナリストに、最近お気に入りのジョークを聞かせた。すると彼は、吾輩の高笑いを無視して、「アウトソーシングといえば」と話しはじめた。「ビル・ゲイツが今月中にもベトナムを訪問して、同国におけるITの開発機会を視察してくるらしいね」

 なるほど、と吾輩は思った。すでにインテルはチップ工場をかの地に建設している。インド系アウトソーシング会社の中にも、ビジネスコストの安さに引かれて、ベトナム進出を検討しているところが少なくないという話だ。友人はまた、ゲイツが2005年、ベトナムのファン・ヴァン・カイ首相に、「パートナー・イン・ラーニング」という教育プログラムでIT系の学生を支援すると約束したことも指摘した。ベトナムはいまやトレンディーなツーリストのメッカだが、近い将来、アウトソーシングのフロンティアになるかもしれない。

 その日の夕刻、吾輩は久しぶりにハイな気分になった。ビジネスアナリストの友人がレッドソックスのイブニングゲームに誘ってくれたからだ。連勝中のソックスがフェンウェイパークで強敵ブルージェイズを迎え撃つ重要な試合だったことも、吾輩を高揚させた。ところがゲームが始まると、ボストンの先発投手デイビッド・ウェルズがトロント打線に打ち込まれ、5回途中までに被安打10、失点7と大乱調。それには躁状態だった吾輩も打ちのめされ、口にほおばったホットドックのソーセージを飲み込むことさえできなかった。なぜだ?

 「いや、もっと大きなミステリーがあるよ」と、決してビジネスマインドを忘れない友人は、ひどく落ち込んだ吾輩に教えてくれた。「チップメーカーのトランスメタが、マイクロソフト向けの秘密プロジェクトを進めているらしい」。なんでもトランスメタは、マイクロソフトが計画するiPodキラーか、“オリガミ”モバイルPC向けのチップを開発中、との憶測が業界で飛び交っているそうだ。しかしアナリストたちはここにきて、このチップメーカーがマイクロソフトと組んで開発しているのは、もっと大きなハードウェアではないかと考えはじめているという。

 それにしてもブルージェイのバッターたちがフェンスの向こうに叩き込むホームランは、吾輩がパソコンのキーボードから飛ばす与太話より速かった。結局、試合は8対4でジェイズがソックスに勝ち、われわれは憂さ晴らしにフォーシーズンズ・ホテルで一杯やることにした。

 バーでグラスを傾けていると、キャットフォンが鳴った。電話の声は、旧知の業界ウォッチャーだった。彼の情報によると、HPの前CEO、カーリー・フィオリーナが台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリングの役員会に迎え入れられたらしい。また彼の話によると、マイクロソフトのオープンソース・ソフトウェア・ラボのクルーが最近、Linuxとレドモンドの技術統合に関する情報を提供するため、port25.technet.comにブログを立ち上げたそうだ。

 電話を切ったあと、グレンリベットを注文すると、ビジネスアナリストが再び話し始めた。WANベンダのリバーベッドテクノロジーが近くIPOするかもしれないという。同社はさきごろ、2005年の11月から12月にかけて顧客ベースが倍増したと発表したが、WAN最適化アプライアンス「Steelhead」シリーズの販売も絶好調の模様だ。

 また友人によると、ブロガーの間では最近、Boot CampがMac上でWindows XP Media Center Edition 2005を実行できるらしいという話題で持ちきりだという。「そりゃいい」とつぶやいたあと、吾輩はため息をついた。「今日みたいなゲームを再生しない限りは、だけどね」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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