[コラム:Spencer F. Katt]
ヒア・カムズ・ザ・サン

2006/5/23


 iTunesミュージックストアがクリエイティブな音楽ビジネスかどうかで争われていた商標をめぐる裁判で、アップルコンピュータがビートルズのアップルに勝ったというニュースを聞いたとき、吾輩が思わず口ずさんだ曲は「You Never Give Me Your Money」だった。

 が、怪しい音程の歌声は、友人からの電話ですぐに中断を余儀なくされた。彼の情報によると、セージ・ソフトウェアがインテュイットのMasterBuilder部門を買収したそうだ。この勢いでセージは、次の矢をSMBに放とうとしているらしい。友人はまた、シリコン・グラフィックスが先週、連邦破産法第11章の適用を申請し、会社更生に向けて動き出したことを話題にした。SGIといえば、映像やグラフィックス分野で一世を風靡したハイエンドメーカーだが、最近は業績が低迷していた。いよいよ破産保護手続きを経て、経営の建て直しを図ることになった。

 その後、別の知人と夕食をともにするため、吾輩はキャットモバイルに乗り込み、アクセルを踏みながら大声で「Here Comes the Sun」を歌った。レストランで待つ相手は、サン・マイクロシステムズの信奉者だ。その知人の推理によると、スコット・マクニーリの退社はすでに時間をかけて周到に準備されているという。ジョナサン・シュワルツが、先ごろサンを離れたソフトウェア担当取締役副社長、ジョン・ロイアコノの後任に長年の親友である元同社取締役のリッチ・グリーンを呼び戻したことは、そうした流れの1つの動きだ力説する。ただ、知人はグリーンに「いつの時点でサンから復帰のアプローチがあったのか」と質問したところ、「次の質問、どうぞ」と冷たく無視されたらしいが。

 最近、サンのCFOに復帰したマイク・リーマンもシュワルツの古い友人の1人だ。シュワルツは以前、リーマンの直属の部下で、そのときは同じオフィスの部屋を共有していた。「しかし、いまや彼は私に、つべこべ言わず、とっとと仕事に戻れ、と言える立場になった」と、リーマンは記者会見でおどけたそうだ。さらに、2004年に組み込みLinux専業ベンダ、モンタビスタに移ったペダー・アランダーも、ソフトウェアマーケティング担当副社長としてサンに戻るかもしれないという。それもまた、マクニーリがサンを離れるのでは、との憶測を勢いづかせている。友人に言わせると、いずれも大幅な経営陣のシフトが近いと予感させる動きなのだという。

 そのとき突然、吾輩の携帯電話から「You Know My Name (Look Up The Number)」のメロディが流れてきた。電話をかけてきた友人の話では、俳優のトム・クルーズが、アルバータ・ホット・ロッズという悪名高いサイバースクアッティング(有名な企業、商品、人物の名前を含むドメイン名を先んじて登録し、転売で利益を得ることを目的とする)会社にTomCruise.comのドメイン名を不当に登録されているとして、世界知的所有権機関(WIPO)に仲裁を申し立てたそうだ。聞くところによると、ブルース・スプリングスティーンなど、そのほかにも何人かのセレブが自分たちのドメイン名を取り戻そうと、同社を相手取ってミッション・インポッシブルな戦いを続けているらしい。

 電話を切ったあと、吾輩は再びソーラーマニアの友人と話を続けた。彼は、サンがUbuntu Linuxと提携しており、同社の創業者が2002年、2億ドルでロシアのソヒューズTM-34ミッションに搭乗して名を馳せたマーク・シャトルワースであることから、シュワルツにも「いつか宇宙旅行がしたいか」と聞いてみたという。その質問にシュワルツは、「個人的にはどうかと思う。私は宇宙へ行くのに2億ドルも払いたくない。というか、払えないし」と回答したそうだ。まぁ、そうだろう。それにまだスコットがサンの会長に留まっているからね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Fab Furball Follows the Sun

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