[コラム:Spencer F. Katt]
退社の理由は宇宙旅行?

2006/9/20


 グーグルがニュースの検索機能を拡張すると聞いて、吾輩も「昔の記憶を検索できたらいいのに」とため息をついた。検索エンジンの巨人はさきごろ、news.google.com/archivesearchの提供を開始した。このサービスで、さらに多くのニュースやメディア・アーカイブへのアクセスが可能になり、古いものでは1700年代から1800年代までさかのぼって、デジタル化された記事が検索できるという。

 「聞くところによると、ユーザーは1923年当時のTIME誌にもアクセスできるらしいね」と、相乗り通勤でキャットモービルに同乗している友人が吾輩に話しかけてきた。ちょうど“ビッグ・ディッグ”と呼ばれるボストンの地下迷宮で渋滞にはまり、身動きが取れなくなったときだ。「ああ、そうらしいね。でも、いまはそれより空飛ぶロケット船が欲しいけどね」と吾輩はぶっきらぼうに答えた。新学期を迎えて学生たちが街に舞い戻り、ただでさえイライラがつのる朝の通勤渋滞がいっそう激しさを増していた。

 「ロケットといえば」と友人が話を続けた。「アマゾン・ドットコムのCEO、ジェフ・ベゾスがテキサス州バンホーンに所有する自分の牧場にブルーオリジンのロケット試験場を建設する計画を発表したけど、米連邦航空局(FAA)の商業宇宙輸送部門(OCST)がOKを出したそうだね」。ベゾスの宇宙旅行計画は、大金持ちの軽はずみな思いつきに過ぎないと思っていたが、少なくともFAAは環境的に問題ないと判断したようだ。

 「む、そうか!」と吾輩は大声を上げた。「マイクロソフトのWindowsコアOS部門を指揮していた上級副社長のブライアン・バレンタインがアマゾンに移籍したのは、宇宙旅行がしたかったからか!」

 すると同乗者は、「マイクロソフトに19年間も在籍していた彼がレドモンドを離れる気になったのは、Vistaの出荷後、わけの分からない部署に左遷されることが決まっていたからだろう。後任に上級副社長のジョン・デバーンが就くこともね」と、訳知り顔で指摘した。業界関係者の間では、バレンタインがアマゾンの動画配信サービス「Unbox」プロジェクトに参加するのではないか、とささやかれている。

 あまりにひどい渋滞にうんざりした吾輩は、マクドナルドの駐車場へステアリングを切り、とりあえず朝食をとりながら渋滞が解消するのを待つ作戦に出た。が、みんな考えることは同じだ。われわれは渋滞を避けて、長い行列の最後尾に立つハメになった。

 友人はコレステロールの塊のようなスープをすすりながら、マイクロソフトが10月10日以降、Windows XP SP1のサポートを継続しないことを話題にした。「これで怠け者たちも、ついにSP2へアップグレードせざるを得なくなったわけだ」と友人は肩をすくめた。そのあと彼は、「ところで、おせっかいにもゲートウェイの小売部門を4億5000万ドルで買収すると持ちかけて、同社の取締役会に拒否されたのは誰だい?」と聞いてきた。「たぶんイーマシンズの創業者で、ゲートウェイの第2位株主のラップ・シャン・ホイ氏だろう」と吾輩は答えた。

 ふたたび苦行のドライブに戻ると、同乗の友人は、EMCがユタ州のサービスオリエンテッド管理ソリューションベンダ、アルティリスを買収するかもしれないと教えてくれた。「アルティリスはEMCの仮想化技術のギャップを埋めるものになるだろう。でも両社のカルチャーギャップは、仮想的な悪夢になるに違いないね」と友人は笑った。

 同乗者のおしゃべりはさらに続いた。彼は、CAの「eTrust」アンチウイルスソフトがWindows Server 2003のセキュリティエレメントを悪意のあるソフトと認識してしまう問題を指摘し、すぐに解決すべきだと主張した。CAの場合、解決すべき問題は、はたしてeTrustだけだろうか?

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Taking a U-Turn to the Future

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