[Spencer F. Katt]

クマーのフェラーリが競売へ

2006/12/04


 いつも業界のウワサ話をあさりまくる吾輩だが、その日は冷蔵庫の前に椅子を運び、感謝祭の残り物をあさっていた。と、そのとき、すわ心臓発作か? とアイスボックスの冷気の中で背筋が凍りつきかけた。なんのことはない。パジャマのポケットに入れていたBlackBerryが、突然振動したのだ。

 吾輩は鳥のモモ肉とパイを器用に操りながら、ペンギン系の友人とインスタント・メッセージをやり取りした。友人からの情報によると、マイクロソフトが来年、SMB市場にサーバアプライアンス(コード名:Fresno)を投入する計画に対して、Microsoft TechNet Webサイト上でブロガーたちが否定的な見解を示しているという。「フレズノ(カリフォルニア州中部の都市)は結局、“世界一のブドウ産地”のままとどまるだろう」とブロガーは書いている。確かに、レドモンドがクライアント・アクセス・ライセンス不要のサーバを提供しようとする一方で、バルマーがLinuxコミュニティによる知的財産侵害を主張するのは、妙な話ではある。

 友人はまた、ロータス・デベロップメントの創立者、ミッチ・ケイパーとシリコンバレーの大金持ちの一団が、米国初の“グリーン”銀行を支援するらしいと教えてくれた。「ニュー・リソース・バンク・オブ・サンフランシスコ」は、クリーンテクノロジーや環境関連ベンチャーへの投資に特化した銀行だという。さらに友人は電話を切る前に、アップルが来年1月のMacworldで「iPhone」を発表する見込みだと話した。あちこちのブログで飛び交うウワサによると、アップルは台湾メーカーと共同でデバイスの開発を進めているという。

 吾輩はキッチンの暗がりに座り込み、冷蔵庫の照明を頼りにポテトやソーセージをほおばりながら、CNNのラリー・キングが最近、ロザンヌ・バーとのライブトークで、彼自身、インターネットを利用したことがないという事実を明らかしたことを思い出した。「小さなボタンやらなにやらを叩いて、なにをしている?」と、キングはロザンヌに質問した。いまどきWebサイトをあちこち覗いたことがないなんて、まったく信じがたいね。凝固したグレービーソースにロールパンをこすりつけながら、吾輩は考えた。もしラリーに安全なデバイスについて質問したら、おそらく彼は、サスペンダーこそズボンがずり落ちないようにベルトをバックアップするフォールト・トレラントなセキュリティ・システムだ、と答えるだろうね。

 そのとき突然、キャットフォンが鳴り出した。とりあえず食事を中断して、吾輩は受話器を取り上げた。ニューヨーク州アイランディアから電話をかけてきたのは、ハイテク業界の関係者だった。彼の話によると、元CAエグゼクティブのサンジェイ・クマーの愛車が競売のために差し押さえられたそうだ。不正経理事件で懲役12年を言い渡されたクマーは、CAの現経営陣からも1400万ドルに上る裁判費用の支払いを求められている。同社によると、クマーは有罪判決を受ける前、妻に2000万ドル、娘に500万ドル送金しているという。

 電話をかけてきた業界関係者は、競売されるクマーの資産には自宅やスピードボートなどもあるが、なかでも2台のフェラーリに注目が集まっているそうだ。CAウォッチャーの間では、CA時代のクマーのボスで指南役でもあるチャールズ・ウォンの弟、フェラーリ・コレクターとして知られるアンソニーが競売に参加するのではないかと見られているという。なんだか背中がゾクゾクするような宿命を感じるのだが……。

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