Spencer F. Katt

法廷のチェアメン・オブ・ザ・ボード

2007/04/23


 “Give me just a little more time……”と、吾輩は思わずチェアメン・オブ・ザ・ボードの懐かしいクラッシックを口ずさんだ。というのも、AMDがインテルを相手取って起した反トラスト法訴訟で、判事がインテルに対して、社内の電子メール数千件が消失した理由説明に時間的な猶予を与えた、というニュースを耳にしたからだ。

 今後の成り行きとしては、インテルが膨大な量の削除メールの復旧に要するコストと時間を盾に、さらに猶予を延長するよう判事の説得を試みる可能性が高い。もしくは、あれだね、インテルがクレイグ・バレットやその他の“チェアメン・オブ・ザ・ボード”をかき集め、判事の前でアンティークなコーラスを2、3曲を歌わせて、裁判所に揺さぶりをかけるとか……。

 なんてことを考えていると、キャットフォンから着信を知らせるオージーオスボーンの「Perry Mason」が流れてきた。電話をかけてきたペンギンマニアの友人によると、IBMとノベルに対する終わりなきIP訴訟を継続中のSCOが最近、Groklaw.comのウェブ主宰者、パメラ・ジョーンズを法廷に呼び出すのは難しいとする文書を裁判所に提出したそうだ。

 SCOは、パメラ・ジョーンズが実在の人物か、それともIBMの顧問弁護士たちが創造した架空のブロガーか疑問だとしていたが、同社側の弁護士が提出した文書によると、ジョーンズがうまく身をかわして出廷要請を回避しているらしい。それに対して“雲隠れ”ジョーンズは、自分のWebサイトで「だれからも出廷せよといった要請はなかった」と反論している。

 また電話の友人によると、SCOはGroklawがIBMと裏で繋がっているに違いないと踏んで、両者の共謀を証明しようとしたらしい。同サイトが、IBMも資金援助するノースカロライナ大学のパブリックドメイン・サーバ、ibiblioを利用しているからだ。だが、Groklawはすぐに反撃した。SCOも自社のOpenServerやUnixWareユーザーにソースコードを提供するためにsunsite.unc.eduを利用しているではないか、と。それって、現在ibiblioとして知られる情報ライブラリの旧URLなのだ。もしibiblioを利用していることがビッグブルーとの怪しい関係を意味するなら、つぎの訴訟はもう間違いなく“SCO vs. SCO”ってことになるだろうね。

 電話を切ったあと、吾輩は同僚と一緒にレッドソックス・ファンの間で大人気のホットスポット「フーズ・オン・ファースト」へ向かった。開幕試合のチケットが手に入らず悲嘆にくれていた吾輩だが、ボストンの新しいピッチャー、ダイスケ・マツザカの動く姿をどれほど見たいと熱望しているか、とにかく語りたかったのだ。

 最初の1杯を傾けながら、われわれはいつものように仕事がらみの話を始めた。「聞いたところによると、風変わりな買収話がいくつか出てるみたいだね。ある情報筋によると、シスコがBEAの買収を検討しているらしい」と同僚が教えてくれた。さらにもう1つ、「HPがSAPの吸収を狙っているという噂を耳にしたよ。プリンタ事業と同様、ソフトウェアでもIBMを真正面から打ち負かそうって魂胆らしい」と、彼は得意げに話した。

 また、「ちょっと馬鹿げた話だけど、これも最近小耳に挟んだことでさ」と笑って、同僚は話を続けた。「メキシコシティ警察では、不法所持の拳銃を供出した者にXboxを提供しているそうだよ。こうしたやり方は、どうやらトレンドみたいだね。ノースカロライナ州ガーナーでも、街中に氾濫する“Ghost”という単語の落書きに業を煮やした警察が、連続落書き犯を密告した者に、XboxかPS3、もしくはWiiを提供すると発表したそうだ」

 やれやれ。もしボストン警察が拳銃と交換でレッドソックスのチケットをくれるというなら、吾輩は“Dice-K”と叫ぶよりも早く、ママキャットのハンドバッグの中に357マグナムが入っていることを密告しちゃうけどね。

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