Spencer F. Katt

ラリー・エリソン、今度は潮風を買収?

2007/05/07


 “I am sailing, I am sailing, home again 'cross the sea……”と、吾輩がノーティカルな気分で歌い始めた理由はもちろん、ラリー・エリソンのBMWオラクル・レーシング・チームが再びアメリカズ・カップ奪還へ向けて快走、というニュースを聞いたからだ。

 ルイ・ヴィトンカップの初日、出走艇の帆に風は吹かなかった。文字通り、帆走するための潮風が吹かなかったのだ。スペイン・バレンシアの静かな海は、港を出るために必要な一陣の風さえ吹かなかったという。でも、風なんて必要かね? ラリーなら、いつものビジネスと同じやり方をすれば負けることはないだろう。そう、ライバル艇を全部買収してしまえばいいんだよ。

 それはさておき、オラクルが証券詐欺で訴えられている裁判で、「Softwar:An Intimate Portrait of Larry Ellison and Oracle」の著者マシュー・シモンズを証人として法廷に呼ぶかどうかの判断がジャーティン・ジェンキンス判事に求められている。サンフランシスコ連邦地裁が下す決定は、原告の帆から風を奪うか、それとも彼らの追い風となるか興味深いところだ。

 この集団訴訟で原告側は、オラクルが2000年から2001年にかけて販売報告を偽り、ハイテクバブルがはじける前にラリーが9億ドルの株を売り抜けたと主張。原告である老人ホーム年金基金の弁護団は、本件の重要な証拠となるはずのラリーとのインタビューテープを誤って破棄したとするシモンズを証言台に立たせるよう求めているのだ。

 吾輩はショッピング中毒の友人を追いかけて、近くのショッピングモールへ向かった。どうやら彼は、“幸運(あるいは不運)な会社の面白い話”カテゴリの小ネタを持っているらしい。

 少し前、暗号技術のイングリアン・ネットワークスは、顧客リストに掲載していたクレジットカード情報処理会社のカードシステムズが過去最大規模のデータ流出事件を起こすという災難に見舞われた。そのイングリアンが昨年、Webサイトに新しい顧客の名前を自慢げに追加した。マサチューセッツ州の大手小売チェーン、TJXカンパニーだ。そう先日、カードシステムズのデータ流出を上回る史上最大規模の個人情報盗難被害を明らかにしたTJXである。当然、その後、同社の名前はイングリアンの顧客リストからこっそり削除された。

 友人によると、TJXはスキャンダルが明らかになったとき、まだイングリアンの暗号ソフトはインストールしていなかったという。大手小売チェーンの名前を顧客リストから消したイングリアンの行為を責めるのは、ちょっと可哀想かもしれない。

 冷たいオレンジ・ジュリアスで乾いた喉を潤しながらモールを歩いていたわれわれは、携帯電話ショップの前で立ち止まった。友人によると、デルがハードウェアメーカーのクアンタと組んで、「Fly」というコード名のPDA/携帯電話を開発するという噂が飛び交っているそうだ。友人はまた、さきごろ電話案内による新しい地域情報検索サービスの試験運用を開始したグーグルも、年内にハンドセットの提供を開始するという噂で持ちきりだと教えてくれた。

 まぁ、それにしてもだな、いまどき携帯電話市場への参入が噂されない会社なんてあるだろうか?

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