Spencer F. Katt

3人のスティーブの物語

2007/05/21


 「ライブ・フロム・ニューヨーク、イッツ・サタデーナイト」と、ドン・パルド似の吾輩は叫んだ。アップルの伝説的人物スティーブ・ウォズニアックとアポロ11号の宇宙飛行士バズ・オルドリンが、水素動力のハマーに乗って南極点を目指すと聞いて、深夜番組の寸劇かよ、と思ったからだ。

 が、事実は小説より奇なり、というのだろうか。両人が代替燃料のプロモーションのために遠征を計画し、本気で南極横断ハイウェイ(通常は研究者専用の道路)の通行許可を得ようとしていると知って、吾輩は唖然とした。今年12月に予定されている「ゼロサウス・エクスペディション」については、drivearoundtheworld.orgに詳しい説明がある。早い話が、宇宙人と宇宙飛行士が水素エンジンのモンスターに乗って、地球のボトムを駆けずり回ろうってわけだ。きっとクエンティン・タランティーノは、必死で映画化権の獲得に駆けずり回るだろうね。

 そのときキャットフォンからザ・スタイル・カウンシルの“Walls Come Tumbling Down”のメロディが流れてきた。電話から聞こえてきた声は、知り合いのアップル・ウォッチャーだった。彼の話によると、スティーブ・ジョブスが最近、カリフォルニア州ウッドサイドの大邸宅の取り壊しを巡る裁判で敗訴したそうだ。ジョブスは1984年に買った「ジャックリング・ハウス」を取り壊す権利を確認するため、何年も前から歴史保存クラブ「アップホールド・アワ・ヘリテージ」と戦っている。建物は1926年に建築されたスパニッシュ・コロニアル・リバイバル風の家屋なのだが、 ジョブスはそれを取り壊して、跡地に新しい家を建てたいらしい。だが、歴史的建造物の保護を訴える団体が強硬に反対しているのだ。詳細については、friendsofthejacklinghouse.orgをチェックせよ、とのこと。

 電話を切ったあと、吾輩は友人の老技術者と昼食をとるために、ボストンの「ジャスパー・ホワイツ・サマー・シャーク」へ向かった。サムアダムス・サマーエールを2本注文してから、吾輩は友人に、「Linuxウォッチャーたちを侮りすぎた」と反省の弁を述べた。デルのホームページでマイケル・デルがUbuntu7.04のユーザーだと分かっただけで、「デルがプリインストールするLinixを特定した」と彼らが騒いでいるのを先週、このコラムで笑ったのだ。ところが、どうやらデルは実際にそのLinuxを搭載した製品を出荷する模様だ。まぁ、吾輩のような毛深い事情通でも、ときには間違うことがあるってことで……。

 フィッシュ・アンド・チップスをむさぼり食っているとき、友人が「マイクロソフトのスティーブ・バルマーがまたしても、アップルのiPhoneにおおっぴらにジャブを打ち込むチャンスを見つけたな」と指摘した。今回はUSAトゥデー紙で吼えている。「iPhoneが一定のシェアを獲得するチャンスはない。絶対にない。あれは500ドルの販売奨励金付きアイテムだ」

 また老技術者は、元ヒューレット・パッカードのボス、カーリー・フィオリーナが各地の講演で、「大切な商談をするとき、とくにアジア諸国では、飲酒が欠かせない」と話しているとか。そのため彼女は、酔いつぶれないようにいくつか個人的な原則を決めていたらしい。まずは精神的な準備と肉体的な準備(宴会の前に炭水化物を摂取する)。そして酒はチビチビ舐めるように飲まないことを心がけたそうだ。というのも、口の中はアルコールの吸収が早いらしい。彼女はまだ救いようのない合併、じゃなかった、二日酔いから覚めてないのかな。

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