Spencer F. Katt

ポール・アレンのニューベンチャー

2007/07/30


 “We all live in a yellow submarine……”と、吾輩がビートルズのナンバーを大声で歌ったのは、女性の友人から、マイクロソフトの共同創立者ポール・アレンが最近、1200万ドルを投じて40フィートの黄色い潜水艦を購入したという話を聞いたからだ。映画「イエロー・サブマリン」でビートルズは“シー・オブ・ホールズ”を見つけたが、アレンもたくさんの“ホール”で自分の富を築き上げた1人だ。マイクロソフト製品のセキュリティ・ホールでね。

 マサチューセッツ州サウスショアのビーチでのんびり波に身を任せていると、一緒に休暇を楽しんでいた女友達に、「この岸から20フィートのところで体長15フィートのサメが泳いでいたらしいわよ」と声をかけられ、吾輩は震え上がった。「これまで大量のシーフードを消費してきた吾輩が、サメに食われて人生を終えるとしたら、そりゃ皮肉な運命ではあるな」などとつぶやきながら、吾輩はビーチチェアへ早足に退避した。

 岸から離れ、ほっと一息すると、キャットフォンから着信音に設定していたビーチボーイズの「キャッチ・ア・ウェーブ」が流れてきた。電話をかけてきたのは業界事情通の1人だった。彼の話によると、マイクロソフトとノーテルの「イノベーティブ・コミュニケーションズ・アライアンス」は、この7月で1周年を迎えるという。VoIPのパートナーとしてマイクロソフトを選んだノーテルの判断は、当初、「ワニの歯をブラッシングする」のと同じくらいリスキーだという冗談が語られるほど、巷では危険な賭けと見られていた。ところが、両社はインディアナ大学をめぐる顧客争奪戦で、ライバルのシスコに事実上勝利したという。ちなみに同大学は、シスコのトップ、ジョン・チェンバースの母校である。シスコにとっては手痛い敗北に違いない。

 電話を切る前、ジェニパー・ネットワークスが戦略的パートナーのQ1ラボを買収するかもしれない、と事情通は教えてくれた。

 ビーチチェアに戻ってきた女友達が、「ビル・ゲイツの投資ポートフォリオは、知らない間にものすごく多様化しているわよ」と話し始めたとき、吾輩はビーチを行き交う人々を観察しながら、Speedoブランドのスイムウェアがフィットする体型も、なぜこれほど多様なのだろうと考えた。それはさておき、ゲイツは最近、メディア会社プラネットアウトの12.8パーセントの株式を、自身が所有するカスケード・インベストメントを通じて購入したそうだ。カスケードが取得した株式は520万株に上り、このニュースが市場に伝えられると、Gay.comサイトを運営し、「The Advocate and Out」誌などを発行する同社の株価は16.2パーセント上昇し、1株1.87ドルまで値上がりしたという。

 女友達が渋々、吾輩の背中に日焼け止めクリームを塗り広げていると、ラジオからニール・ダイアモンドの「Hot August Night」が流れてきた。すると彼女は、「8月はアップルにとっても暑い夏になりそうね。ブラッシド・メタル仕上げの新型iMacが夏の終わりに出るそうよ」」と教えてくれた。また、パームのモバイル・コンパニオン・デバイス「Foleo」も、その頃には出荷される見込みだという。

 さらに彼女の話によると、大学生限定SNSの「Facebook」を創立したマーク・ザッカーバーグは、ハーバード大学の友人たちが開発した「ConnectU」という同様のWebサイトからコードを盗んだとして、3年にわたって争っている問題で、裁判所が出した差し止め命令に強く反発しているそうだ。まぁ、自分のやってるビジネスに80億ドルの価値があると分かれば、サメが寄ってくるのは海の中ばかりじゃないだろうね。

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