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Spencer F. Katt

Facebook、ダメな開発者の締め出しを宣言？

2008/08/11

　うだるような暑さは、8月に入ってさらに過酷さを増したようだ。とりあえず吾輩は東海岸の酷暑から逃れ、太平洋の冷たい霧とシリコンバレーの業界裏情報を存分に楽しもうと、一路サンフランシスコへ飛んた。

　霧の街の情報屋は吾輩が到着するやいなや、最新の業界動向を話し始めた。最初の話題は、AMDのことだった。旧ATIの民生電子機器部門を売り飛ばせばAMDは再浮上できる、というのが業界でのもっぱらの観測だという。AMDが同部門の操業を停止すると7月に発表して以来、関係者の間ではそうした見方が広がっているらしい。

　AMDの賭けに勝ち目があるとすれば、同部門の閉鎖ではなく、売却以外にない。いまのところ、ブロードコムがテレビ事業に強い興味を示しているらしい。予想売却価格は2億5000万ドルから3億7500万ドルとみられるが、もしブロードコムが買い取れば、同社の家電ビジネスは大幅に強化できる。

　一方、カリフォルニア州マウンテンビューにあるVoIP電話サービス会社、リビットのファンだという人々から話を聞くことができた。彼らはビールを飲みながら口々に嘆き悲しんでいた。同社が1億500万ドルでブリティッシュ・テレコム（BT）に身売りすることになったからだ。

　リビットの共同創立者であるクリック・ウォーターズは、2007年12月に創業したばかりの会社をBTが買収した理由について、こう話している。「いまやIPの時代。銅線を引き回すビジネスに未来はない」

　実際、多くの企業がコミュニケーションを電話回線からWebへ移行し、人々はデスクトップやラップトップのコンピュータ、あるいはスマートフォンを使って通信している。その傾向は今後ますます加速するというわけだ。

　巨大ザメの口に吸い込まれた小魚のように、大企業に飲み込まれたウォーターズだが、大金を手にした彼はいま、BTが自分のビジョンを実現してくれると確信しているに違いない。

　先月開催されたフェイスブックの開発者会議「Facebook F8 Conference」に出席した技術者がグラスを傾けながら心配顔で話し出したとき、吾輩は思わず身を乗り出した。なんでもCEOのマーク・ザッカーバーグが“砂場遊び”のルールを厳しくするらしい。Facebookプラットフォームから誰がお払い箱になるのか、このところプログラマたちは戦々恐々としているらしい。

　ザッカーバーグはサンフランシスコの開発者会議で、1000人以上のプログラマを前にこう宣言したという。「われわれは多くの失敗を繰り返してきたことを、ここで率直に認めよう。そこから学習すべきことは多い。開発者と緊密に連携するにはどうすればよいか。あるいは、われわれのエコシステムに最適なアプリケーションをどう構築するか、などだ」。そして彼が強調したことは、スパムのようなくだらないアプリケーションの開発を許してしまうルールや手続き、規制の不備だった。

　あるベンチャーキャピタリストの社員が匿名を条件に話してくれたところによると、開発者会議に出席していた数百人のプログラマは、彼らの仕事がフェイスブックの要求する水準に到達していないとダメ出しされ、悄然としてしまったそうだ。

　おそらくスパムのようなアプリケーションを開発した一部のプログラマたちは、お払い箱になる前に、Facebookプラットフォームから静かにドロップアウトするだろう、と彼女は言う。そうしないプログラマは今後、フェイスブックから猛烈な圧力を受けるはずだ。はたしてこの先、どんな開発チームや開発者が賞賛され、あるいは後悔の日々を送るのか、彼女はついに明らかにしなかったが。