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 @IT情報マネジメント編集部主催イベント「第7回 @IT情報マネジメントカンファレンス いま知っておきたい仮想化時代の運用管理術」が、2010年2月に都内で開催された。

 散在するサーバを集約することによってコスト削減を実現する技術として実用段階に入った仮想化テクノロジ。最近ではITシステムの柔軟性や効率性を高めるソリューションとしても集めるが、仮想化はシステムを複雑化することになるため、安易な導入は運用管理者の負荷を大幅に高め、かえって非効率な運用に陥ってしまうことが考えられる。本カンファレンスでは仮想化導入のポイントから仮想化運用を支援する運用管理ツールまで、デモなどを交えて講演が行われた。

 基調講演では日本仮想化技術の代表取締役社長/CEOの宮原徹氏が『失敗しない仮想化環境の設計・構築法』と題して、仮想化に取り組む際のノウハウを紹介した。特別講演ではアクセンチュアの中寛之氏が『仮想化時代の新しいIT運用管理:Beyond ITILを目指せ』と題して、大規模システムにおける仮想化適用の手順を解説した。

 ここではそのほかの講演の中から株式会社 日立製作所の伊庭 健一 氏によるセッションを紹介しよう。

日立製作所
『実用段階に入ったクラウド! 新たな顧客価値をもたらす賢いITインフラ実現への取り組み』

株式会社 日立製作所
ソフトウェア事業部 販売推進部
主任技師 伊庭健一氏

 日立の伊庭氏は「クラウド・コンピューティング」が社会に与えるインパクトから講演を始めた。一般にクラウドの影響は「所有から利用へというIT形態の変化」「コスト削減」「柔軟なスケーラビリティの確保」という面が語られることが多いが――と前置きしたうえで、伊庭氏は「変わったのは一般消費者のユーザー体験ではないか」とした。

 すなわち何かのファイルを見る、編集するといった作業を行うとき、従来であれば特定のアプリケーションがインストールされた環境が手元になければできなかったが、最近の常識ではネットワーク接続やブラウザさえあれば、各種ファイルへのアクセスや編集作業ができてしまう。あるいは古着やアクセサリーを売るネットショップを個人で開設したいという場合もネット上に用意されたテンプレートやサービスを利用することで簡単に実現できるようになった。

 この「いつでもどこからでも作業ができて、やりたいことがすぐに始められる」というクラウド的ユーザー体験は企業の従業員にも及ぶ。従業員も自宅に帰れば一般消費者であり、自宅では可能な体験がオフィスでも可能になっているのかというのは、生産性や利便性に直結する話だと論じた。

 このクラウド的ユーザー体験は消費者にとっては常識となっている。従って、それを提供できない企業にとってユーザー体験の変化は“脅威”となるが、逆にこの体験を他社に先駆けて――会社の中で従業員がこの体験によって利便性を享受したり、生産性を向上したりすることを含めて――行うことができれば“機会”になる、とした。

 続けて伊庭氏は、こうしたユーザー体験を実現するITインフラには2つの要件があると指摘した。1つが 新規業務に必要なITリソースを迅速に提供・配布できることであり、もう1つが負荷の増減に応じて業務へのリソース割り当てを容易に変更できることである。そして、それを実現するものが仮想化技術であり、現状の「サイロ型システム」において、物理リソースに縛り付けられている業務システムを切り離し、柔軟なシステム運用を可能にするものと位置付けた。

 しかし、仮想化技術にはデメリットもある。伊庭氏は仮想化の課題として次の3つを挙げた。

課題1:障害発生時の対応が難しい

 従来型システムでは物理サーバと業務アプリケーションの対応関係は固定的だったので物理サーバだけを意識すればよかったが、仮想化後にはサーバと業務の関係が1対1ではなくなってしまう。

課題2:期待通りの性能が出ない

 仮想環境では仮想マシンのCPU使用率やディスク占有率だけを監視すればいいというわけではなく、物理リソースも含めてトータルに有効活用ができているかを管理していくことが必要になる。

課題3:環境の変化に対する運用負荷が高い

 仮想マシンは追加や移動が簡単にできるので増殖しがち。これらの仮想マシンに監視エージェントを設定しなければならないとしたら運用負荷は高くなる。

 課題1に対して日立の統合システム運用管理ツール「JP1」は統合コンソールが解決策を提供する。この統合コンソールは稼働している仮想マシンが業務システムや物理サーバとどのように対応するかをビジュアルに表示する。例えば業務システムAの下に仮想マシン1、仮想マシン2、あるいは物理サーバBの下に仮想マシン1、仮想マシン2があるというようにツリー表示することで、仮装マシンを業務単位、物理サーバ単位でグルーピングできる。仮想マシンで障害が発生した場合は関係する物理サーバや業務の表示色が変わるので、即座に影響範囲を把握できる。この機能は仮想化ソフトウェア/仮想化機構と連携し、自動的に構成情報を取得することで実現されている。

 課題2については、JP1の稼働監視機能が解決する。JP1では仮想/物理の両面で正確な稼働状況を把握できるので、物理サーバ全体としては余裕があるのに、ある仮想マシンのCPU使用率が100%に近いというような場合、同時にその物理サーバに載っている別の仮想マシンを見て余裕があれば、余裕のある仮想マシンのリソース割り当てを減らし、ひっ迫している仮想マシンのリソース割り当てを大きくすることで、各仮想マシンおよび 物理サーバ全体としても効率的なリソース活用を行うことが可能となる。

 課題3を解決するのがJP1のエージェントレス監視である。これはエージェントソフトウェアをインストールすることなく物理サーバと仮想マシンを監視できるので、仮想マシンの追加などを行った後でも、すぐに稼働監視を開始できる。さらにこのエージェントレス監視で、業務サーバ集約前の各サーバのリソース利用状況を把握しておくことで、仮想化によるサーバ集約後にどの程度のリソースが必要になるのかを見極めるためのキャパシティプランニングにも活用できる。

化象環境での迅速な対応
図 仮想環境での迅速な対応(クリックすると拡大します)
仮想環境でも、障害の影響範囲を一目で把握し、迅速に対応することができる

 伊庭氏は今後の市場動向として「短期的にはプライベートクラウドのニーズが先行し、長期的にはパブリッククラウドが緩やかに浸透していく」と説明。それを踏まえたJP1の製品計画としては、業務システム横断でITリソースの稼働監視、割当計画、割当実行といったライフサイクルを管理するITリソース管理製品を2010年度内に提供していくという。さらにはサービス観点でITリソースの効率的な運用を市場ニーズに応えながら計画していくという意向を示した。

 最後に伊庭氏は「クラウド的ユーザー体験を提供するために必要なシステム要件はITリソースを迅速かつ柔軟に割り当て・再配分すること。JP1は運用管理の視点でそれらを確実に支援していく」と述べてセッションを終えた。

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関連リンク:日立製作所


提供: 株式会社日立製作所
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT情報マネジメント編集部
掲載内容有効期限:2010年3月31日

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提供:株式会社日立製作所


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